バイオテクノロジー

実海域試験

NITEは、海洋における生分解性プラスチックの分解に関わる微生物株の分離と関連データの取得を目的として 、岩手大学、広島大学、島根大学、鹿児島大学と協力し、各地域の海に生分解性プラスチックフィルムを一定期間浸漬する試験を実施しました。

試験方法

浸漬試験は、2021年2月~2023年1月の期間、計6回、PHBH※1、PBSA2、PCL※3、PGA※4、PET※5、PLA※6の各プラスチックフィルムをアクリル製の治具(図1)に固定し、各場所の海表面から約3 m 下と海底から約3 m 上の2つの深度に一定期間(9日~106日(試験による))浸漬をしました(図2)

※1 Poly(3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyhexanoate)
※2 Poly(butylene succinate-co-butylene adipate)
※3 Polycaprolactone
※4 Polyglycolide
※5 Polyethylene terephthalate
※6 Polylactide

浸漬したフィルムを回収した後、付着していた微生物の種類とその割合などを調査するためにフィルム付着微生物叢解析を行い、フィルムの崩壊度と相関関係を示す微生物種などの特定を進めています。また、分離した微生物株の生分解性プラスチック分解活性の評価を行っており、分離微生物株の活性と微生物叢解析のデータを照らし合わせることにより、実海域で生分解に寄与している分解微生物群の特定を進めています。(図3)

 

実海域試験より分離した微生物株と生分解活性についてはこちらのページをご覧ください。

実海域試験における微生物叢解析の詳細については公開準備中です。
 

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海洋生分解性プラスチック事業について

本事業は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで得られた成果です。

  • 海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100168.html
  • 生分解開始スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの研究開発
https://www.nedo.go.jp/content/100923469.pdf

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参考文献

「海洋汚染問題を解決する生分解性プラスチック開発:分解性評価から新素材まで」(エヌ・ティー・エス出版, 2023)

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