化学物質管理

分配係数試験

分配係数(1-オクタノール/水)測定試験(抜粋)

※H14年12月2日  連名通知一部改正(抜粋)

水に可溶で界面活性を有さない新規化学物質(有機金属化合物を除く。)については、当該新規化学物質の1-オクタノールと水との間の分配係数を魚介類の体内における濃縮度を判定するための知見として取り扱うこととする。
この場合、1-オクタノールと水との分配係数の測定方法については、原則としてOECD Test Guideline(OECD理事会決定「C(81)30最終別添1」)107又は日本工業規格Z7260-107(2000)「分配係数(1-オクタノール/水)の測定-フラスコ振とう法」によることとする。

1.適用範囲

ここでは、化学物質の親油性物質(1-オクタノール)/水間の分配係数測定の標準となるべき方法について規定する。

2.制限条件

この方法は、水に可溶で界面活性を有さない化学物質(有機金属化合物を除く。)を対象とする。

3.用語

この試験において使用する用語は、日本工業規格(以下「JIS」という。)において使用する用語の例による。

4.試薬

この試験方法において使用する試薬は、試薬特級又はこれと同等以上のものとする。

5.試験方法

5-1 試験方法の概要

一定量の被験物質を1-オクタノールに溶解し、1-オクタノールと水の二つの溶媒相中に加えて十分に混合した後、二相に分離し、各相中の被験物質濃度を測定し、分配係数を求める。

5-2 分配係数の推定

分配係数の推定は、次のいずれかの方法により求める。

  1. 1.計算法
  2. 2.被験物質の溶媒への溶解度から推定
  3. 3.予備実験

5-3 試験温度

試験温度は、20~25±2℃とする。

5-4 装置及び器具

1.恒温槽、恒温水槽又は恒温室
試験温度に設定できるもの
2.遠心分離器
温度制御装置を備えるものを用いる場合には、試験温度に調節できるもの。
3.振とう機
振とう機を用いる場合には、平衡容器を、垂直に180度回転(回転数=20回/分)できるもの。
4.平衡容器
共栓付きの遠心管又はフラスコで、ガラス製、ふっ素樹脂製又はステンレス製のもの

5-5 溶媒の調整及び被験物質溶液の調整

1.水飽和1-オクタノール
(1)1-オクタノールの精製
1-オクタノール(95%以上)に硫酸(0.05mol/L)を加えて振とうした後静置して分離し、硫酸層を除去する。続いて水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L)を加えて振とうした後静置して分離し、水酸化ナトリウム層を除去する。さらに水を加えて、中性になるまで洗浄を繰り返す。これに硫酸マグネシウム(無水)を加えて脱水し、減圧蒸留装置を用いて蒸留を2回行い精製する。精製して1-オクタノールの純度は、99.5%以上であることを確認する。なお、蒸気圧の似た有機不純物にあっては、適切な方法により精製する。
(2)水との混和
精製した1-オクタノールをガラス製容器に入れ、飽和に必要とする以上の水を加え、24時間以上穏やかに攪はん又は振とうして分離する。
1-オクタノールは、水が十分に飽和していることを確認する。
2.1-オクタノール飽和水
(1)水の精製
ガラス製又は石英製の蒸留装置で、イオン交換水又は蒸留水を再蒸留して精製する。
(2)1-オクタノールとの飽和
精製した水をガラス製容器に入れ、飽和に必要とする量以上の1-オクタノールを加え、24時間以上穏やかに攪はん又は振とうした後静置して分離する。
水は、1-オクタノールが十分に飽和していることを確認する。
3.被験物質溶液の調整
(1)被験物質の純度
可能な限り純度の高いものを使用する。
(2)溶液の調整
水飽和1-オクタノールに溶解し、濃度が1~100mg/mLの溶液とする。
この溶液は、安定な条件下で保管し、試験を行うときは濃度を正確に測定する。

5-6 溶媒の量、溶媒体積比及び被験物質の使用量は、次の要因をもとに設定する。

  1. 1.分配係数の予備試験で得られた、分配係数の推定値
  2. 2.分析方法の感度から、水層及び1-オクタノール層の分析における必要な被験物質の量。
  3. 3.水層及び1-オクタノール層中の被験物質の濃度は、0.01mol/L以下であり、かつ、それぞれの層の溶解度以下であること。
  4. 4.平衡容器中に占める溶媒の全体積の割合は、ほぼ一杯(90%以上)であること。

5-7 測定条件

測定条件は、次に示す3水準とする。

  1. 測定条件1  5-6で設定した溶媒体積比とする。
  2. 測定条件2 水飽和1-オクタノールの量を測定条件1の2倍とする。
  3. 測定条件3 水飽和1-オクタノールの量を測定条件1の2分の1倍とする。

5-8 測定回数

試験は測定条件ごとに2回の測定を行い、合計6回行う。

5-9 試験操作

  1. 1.平衡容器に、5-6で設定した量の被験物質溶液を正確にはかりとる。
  2. 2.この平衡容器に、5-6及び5-7で設定した量の1-オクタノールと水を正確に加える。
  3. 3.試験温度に保ちながら、振とう機を用いて平衡容器を5分間振とう(回転数20回/分)とする。
    なお、振とう機を用いない場合には、平衡容器を持って垂直軸のまわりに素早く180度回転(回転数20回/分)し、平衡容器の空気が2層を通過して上昇するように振とうすること。
  4. 4.試験温度に保ちながら、平衡容器を2層の分離に必要な加速度で20分間遠心分離する。
    なお、温度制御ができない装置を使用した場合には、試料の採取の前に遠心管を1時間以上試験温度に保ち再び平衡させる。
  5. 5.2層が完全に分離していることを確認する。
  6. 6.1-オクタノール層の中央部にピペットの先端を挿入し、約2分の1以下の量の1-オクタノールを採取する。
  7. 7.ピペットの外側をろ紙等で拭き取った後、1-オクタノールを他の容器に移す。
  8. 8.水層から試料の採取は、針が取りはずしできる注射器を用い、次のように行う。
    1. (1)注射器の一部に空気を入れておき、針がオクタノール層を通過するとき、空気をゆっくり押し出しながら水層に達するように行う。
    2. (2)適当量の試料を注射器に吸い込んだ後、素早く層から取り出し、針をはずし、水層を他の容器に移す。
      なお、1-オクタノール層を除去してから、水層を採取する場合は次による。
    3. (3)遠心管中に残った1-オクタノール層を、吸収除去装置(図は省略)を用いて除去する。
      なお、吸収除去装置を用いない場合は、ピペット、注射器等を用いるが、これらを用いる場合は、新しいものを用いて行う。
    4. (4)新しいピペットの先端を水層の下部に挿入し、約3分の2以下の量の水層を採取する。
    5. (5)ピペットの外側をろ紙等で拭き取った後、水層を他の容器に移す。
  9. 9.被験物質の分析に最適な分析方法により、1-オクタノール層及び水層中の被験物質の定量を行う。

5-10 試験結果の算出方法

分配係数は、次の式により算出する。
P=log10Pow

Pow:
Co/Cw
Co:
1-オクタノール層中の被験物質濃度(mol/L)
Cw:
水層中の被験物質濃度(mol/L)

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