化学物質管理

化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために-6

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EHE(ヒトへの推定暴露量)

EHE(Estimated Human Exposure:ヒトへの推定暴露量)とは

化学物質の暴露量を計算する際、"呼吸や食事の量、体重などの数値が一律であると仮定し、推定した暴露量"のことです。

暴露はその暴露経路により、「直接暴露」「間接暴露」に分けられます。

「直接暴露」とは、例えば工場内での作業などにより、化学物質を直接的に取り込むことです。

一方、「間接暴露」は、排出環境中へ拡散空気を吸う、水を飲む、食物を食べるなど暴露(摂取)により、化学物質を間接的に取り込むことです。「環境経由の暴露」とも表現され、「間接暴露」には製品経由の場合もあります。

EHE(ヒトへの推定暴露量)を説明するイラスト

しかし、実際の個人の暴露量は、化学物質とヒトの生活環境(住んでいる場所や食べ物など)により、違った値になります。また、実際に吸い込む空気や飲料水、食物に含まれる化学物質が全て吸収されるわけではなく、さらに吸収された物質全てがヒトに影響を及ぼすわけではありません。

EHE(ヒトへの推定暴露量)と同じ意味で、EHI(Estimated Human Intake:ヒト推定摂取量)という呼び方もあります。

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NEDO事業における「初期リスク評価書」では、主に間接暴露についての推定を行っています。

モニタリングデータやPRTR排出量データを元に、日本国内においてヒトへの暴露が最大と考えられる場合を想定し、EHE(ヒトへの推定暴露量)を求めています。

PRTRマップ 【URL】http://www.prtrmap.nite.go.jp/prtr/top.do

参考:トルエンのPRTRマップ

トルエンの排出源マップ画面(左)と大気中濃度マップ画面(右)

初期リスク評価における総暴露量の算出方法

以下の1~5各経路からの1日当たりの摂取量を合計し、ヒトの体重(50kg)で割って、mg/kg/ 日あるいはμg/kg/日単位の総暴露量を算出します。

  1. 1.呼吸による暴露量
    大気中の濃度×空気吸入量(20m3/ 日)=暴露量
  2. 2.水を飲むことによる暴露量
    飲料水中の濃度×飲料水摂取量(2L/ 人/ 日)=暴露量
  3. 3.食物による暴露量
    食物中の濃度×食物摂取量=暴露量
    なお、食物中の濃度データが得られない場合は、魚介類を食べることによる暴露量を計算して代用します。 魚介類中の濃度×魚介類摂取量(120g/ 日)=暴露量
  4. 4.他の食品(穀物・野菜・果物、肉・卵類、乳製品)経由の暴露量
    データの入手や厚生労働省の研究報告書などの結果を利用して暴露量を推定しています。
  5. 5.家庭用品経由の暴露量
    その用途から、考えられる暴露についてそれぞれ暴露量を推定しています。

なお、吸収率はヒトに関する代謝などのデータがない限り、100% として計算しています。

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