製品安全

Vol.10 11月18日号「平成16年度の事故情報を振り返って」

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      ■■■          生活・福祉技術センター 業務管理課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

==================2005.11.18 Vol. 10===================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │     平成16年度の事故情報を振り返って      │
      └───────────────────────────┘

◇11月9日、NITEは平成16年度の事故情報を公表した。平成16年度
 の事故情報収集件数(*)は2,378件と、これまで公表時の最多件数であ
 った平成14年度の1,803件を超えた。
 (*)当該件数は、重複情報や収集対象外の情報を除いたもの。

◇この要因は、なんだろうか?
 昨年は、3月に六本木ヒルズで自動回転扉に挟まれて子供が死亡した事故が
 発生し、4月には大阪府で2人の子供が回転遊具で指を切断する事故が発生
 した。さらに、5月には大型トレーラーのタイヤ脱落事故について、取るべ
 き対策を怠ったとして自動車メーカーの幹部が逮捕された。これら一連のニ
 ュースを契機に、製品安全に対する事業者の対応について社会的関心が高ま
 ったことから、事業者が自主的にNITEに事故通知を行った結果であると
 分析している。

◇昨年度はハロゲンヒータータイプの電気ストーブの事故通知が多数寄せられ
 た年でもあった。これまで、直流電源装置、ガスこんろ、石油ストーブが上
 位を占めていたのだが、電気ストーブはこのあおりで357件を記録、他の
 製品を大きく引き離し、年度別事故通知ワースト1となった。これはハロゲ
 ンヒーターの最近のブームを反映した結果であろう。

◇誤使用事故は、ここ数年間の分析結果では常に製品事故の約35%を占めて
 きたのだが、昨年度は約23%と大幅に減少した。NITEの誤使用事故防
 止の考え方が浸透してきた結果ならうれしいが、この要因も、製品に起因す
 る事故として事業者の通知が大幅に増えたことにある。昨年度の事故情報は、
 一言でいうなら、社会情勢を色濃く反映したものといえるだろう。 
                              (編集子)

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                目次 
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1.消費生活用製品の事故防止について
    第10回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(10月31日~11月11日受付77件)
   ・カセットこんろ関連の事故
   ・消費生活用製品以外の事故(1件)
3.社告情報(7件)
4.関係機関の製品安全情報
   ・セイコーシェーバー充電器に関する社告の再掲載について
                             経済産業省
   ・アスベストを含有する家庭用品の実態把握調査の結果について
                     (第3回報告) 経済産業省
   ・「平成17年度上半期 受付相談のまとめ」を発行
                      化学製品PL相談センター
5.編集後記
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        1.消費生活用製品の事故防止について
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       第10回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」

◇(13)「製品設計対応の具体的手法」
 ・「本質安全設計」や「保護装置による安全確保」を製品設計に具体的に取
  り入れる際の手法は、誤使用によってパターンがあり、とるべき対策は異
  なる。
 ・リスクは被害や損害の程度と、事故の発生確率の組み合わせによって決ま
  ってくるものであるため、リスクの低減の手法は、「被害や損害の大きさ
  の低減」と「事故の発生確率の低減」の2通りに分けられる。
 ・「事故の発生確率の低減」は、「ハザードの隔離」と、ヒトの「行為の制
  約」、並びに、「フェイル・セーフ」の3通りに分けられ、「行為の制約」
  によって事故の発生確率を低減する手法は「意図しない誤使用の制約」と
  「意図した誤使用の制約」の2通りに分けられる。 

◇(14)「意図しない誤使用の防止策」
 a.偶発的ハザードの防止
   「偶発的な誤使用を防ぐ方策」とは、消費者の身体等が偶然に触れてス
  イッチが入ってしまうなどの事故を防ぐ以下のような安全設計を行うこと。
  (電気こんろに押し回し式(2アクション式)の点火スイッチを採用)
    →不用意に点火しないようにする。
  (湯沸かしポットで、電源コードと本体との接続部にマグネットを採用)
    →足などを引っかけた場合でも接続部が外れることで、ポットが倒れ
     ないようにする。

 b.製品の使いやすさの向上
   消費者が誤使用に陥る背景には、製品(使い勝手等の特性)、ヒト(年
  齢、知識経験、体力等の特性)、環境(製品を使う際の周囲の照明や騒音、
  忙しい時間帯か否か、周囲に他の人が居るか否か等の特性)の要因が存在
  する。例えば、製品のボタンが小さく、隣接していたのでは、いかに注意
  をしても押し間違える。また、高齢者や障害のある方が使う場合、急いで
  いるときや暗くて見えにくい使用条件の下では、押し間違いが多発する。
  これらを防止するためには、人間工学的な見地から使いやすさの確保、向
  上に向けた設計を行う必要がある。

 c.エラー・プルーフ
   「エラー・プルーフ」は、人間が勘違いしたりうっかりミスをしても
  (エラーの状態になっても)、その影響を防いで(プルーフして)製品を
  安全に保つ以下のような設計を行う。
  (電子レンジや洗濯機の脱水槽のドアや蓋)
    →ドアや蓋が開いていると作動しない。
  (オートマチック自動車のシフトレバーやブレーキ)
    →シフトレバーをPレンジで、かつブレーキを踏んでいないとエンジ
     ンが始動しない。
  (バイクのクラッチ)
    →クラッチを握らないとエンジンが始動しない。
                                                     < S.N >

        ※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
                          (第11回に続く)
    ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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              2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
                (10月31日~11月11日受付77件) ◇◆◆

 NITEに通知のあった事故情報を傾向として集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
  =============================================================
  1. デスクマット   (皮膚傷害  10件)   [+10]    
  2. ガスこんろ    (火災     9件)   [- 9]
  3. なべ       (ガラス蓋破損 4件)   [+ 4]
  3. 配線器具     (火災     4件)    [+ 1]
  3. 四輪自動車    (火災等    4件)   [- 2]
 
  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

◆◆◇ カセットこんろ関連の事故 ◇◆◆

 そろそろ鍋物が美味しい季節です。今回は、カセットこんろ関連(カセット
こんろ、カセットこんろ用ガスボンベ)の事故を取り上げます。NITEに通
知されて調査が終了したカセットこんろ関連の事故情報件数は、平成15年度
30件、平成16年度17件です。カセットこんろ関連の事故も、前回の石油
ストーブと同様に、消費者の誤使用や不注意による事故が多い傾向にあります。

◇消費者の誤使用・不注意による事故事例  

 【カセットこんろ】

 ・カセットこんろをこたつのそばで使用していたところ、こんろの火がこた
  つ布団に燃え移り、その炎でこんろのボンベが過熱し、爆発した。
  →こたつ布団の他に、布巾、紙等の可燃物に引火した事例があります。

 ・点火しているストーブの上にカセットこんろを置いたため、こんろに装着
  していたボンベがストーブの火で過熱して爆発した。
  →ストーブの他に、ガスこんろ、電気こんろ、オーブントースター、電磁
   調理器の上にカセットこんろを置いていて、それらの熱源でボンベが爆
   発した事例があります。

 ・カセットこんろで炭をおこしていたところ、装着していたボンベが炭の輻
  射熱で過熱し、爆発した。
  →輻射熱による事例は他に、カセットこんろを覆ってしまう大きな鍋を使
   用して、鍋の輻射熱でボンベが過熱して爆発した事例があります。

 【カセットこんろ用ボンベ】

 ・カセットこんろのボンベを廃棄しようとボンベに穴を開けたところ、そば
  にあったストーブの火が滞留したガスに引火して爆発した。
  →その他に、電動ドリル等で穴を開けていて、火花が散って爆発したと見
   られる事例があります。

 ・カセットこんろのボンベをファンヒーターの吹き出し口前に放置していた
  ため、ファンヒーターの熱でボンベが過熱し、爆発した。
  →ボンベの他に、ヘアースプレー等エアゾール製品をファンヒーターの前
   に置いていて爆発した事例があります。

◇カセットこんろの取り扱い方法や注意事項が以下に掲載されていますので、
 ご覧ください。
 
 ・社団法人日本ガス石油機器工業会「カセットこんろ・ボンベQ&A」  
  http://www.jgka.or.jp/index.html
  
 ・財団法人日本ガス機器検査協会「カセットボンベの正しい使い方」
  http://www.jia-page.or.jp/

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆

◇『ブランコで遊んでいた女児の顔に外れたナットが落下』
                         (10/26・福岡県)
 女児が小学校のブランコで遊んでいたところ、ブランコの鎖と外枠をつなぐ
ナット1個が外れて女児の顔に落下した。

■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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              3.社告情報
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◇平成17年10月30日 株式会社エスティシー 「ろうそく」
 キャンドル燃焼時に陶器部分が高温になり火傷等の危険性や、設置場所を焦
がし、焼損させる恐れがあることが判明した。(製品回収)


◇平成17年11月1日 ジレット ジャパン インク/ブラウン ビジネス
            マネジメント 「シェーバー用ACアダプター」
 ブラウン電気シェーバー付属のACアダプターの一部において、アダプター
本体が過熱し、稀に煙を発するなどの事象が判明した。
                     (無償交換(ACアダプター))

◇平成17年11月2日 ウエルテック株式会社 「歯ブラシ用充電器」
 音波歯ブラシ用の充電台の一部で,通電中に発煙・発火する事故が報告され
ている。万一、近辺に可燃物がある場合、火災に至る危険性がある。
                             (製品回収)

◇平成17年11月8日 株式会社ニコン/ニコンカメラ販売株式会社 
            「デジタルカメラ用バッテリー」
 稀に発熱し電池が変形、場合によっては発火する恐れのあることが判明した。
                             (製品回収)

◇平成17年11月8日 株式会社ケンウッド 「カーステレオ用スピーカー」
 製造上の問題により、まれに本体内部のスピーカー端子への信号導入線が金
属筐体に咬みこまれ、電気的短絡(ショート)を起こして落下防止用ワイヤー
の発熱を誘発し、これに直接触れた場合には車両内装材の熱損傷や火傷等を起
こす可能性があることが判明した。(無償で製品交換)

◇平成17年11月10日 株式会社オークローンマーケティング 
             「運動器具(ステッパ)」
 駆動部品として使用しているチェーンが、誤った使い方で過負荷となった、
あるいは長期にわたり使用した場合等に切れることがある。その結果ペダルが
急に下がってバランスを崩すおそれがあり、転倒につながる場合もある。
                             (注意喚起)

◇平成17年11月14日 三菱電機株式会社 「電気ストーブ(パネル型)」
 使用環境や組立バラツキによりヒーターの通電を制御している電子部品の温
度が高くなり、その状態で長期間使用した場合に電子部品が劣化・故障し、ご
く稀ではあるが発煙・発火する可能性があることが判明した。
                         (無償で点検・修理)

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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           4.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ セイコーシェーバー充電器に関する社告の再掲載について ◇◆◆

 経済産業省では、「電気用品安全法に関するおしらせ」に11月2日付で、
セイコーエスヤード株式会社のシェーバー充電器に関する社告を再掲載しまし
た。

【詳細】「電気用品安全法に関するおしらせ」
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/topics/index.htm
          
◆◆◇ 石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の
            実態把握調査の結果について(第3回報告)◇◆◆
 
 経済産業省は、石綿を含有する家庭用品(一般消費者が購入する製品)の製
造・輸入等の実態についての調査を9月12日(第1回目)、10月20日
(第2回目)に公表しましたが、その後新たに寄せられた情報について11月
10日付で公表しました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/

◆◆◇ 「平成17年度上半期 受付相談のまとめ」を発行 ◇◆◆

 化学製品PL相談センターでは、11月10日、「平成17年度上半期受付
相談のまとめ」を発行しました。同センターではその他に、月次報告『アクテ
ィビティーノート』、「年度活動報告書」等を発行しています。

【詳細】 http://www.nikkakyo.org/plcenter/ 

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              5.編集後記
===================================

 今号の社告情報で、自分で持っている製品が回収対象になっていることに気
づきました。この仕事に就いて初めてのことです。拡大被害が起こる可能性の
あるものなので、家族にも連絡し、帰宅して急いで確認すると・・・・・・・
ロット番号が違っていました。製品安全業務に携わっていても、一消費者でも
あります。よろしければ皆様も、NITEの社告検索(3.社告情報欄参照)
で身のまわりの製品をご確認してみてください。今回はちょっと慌てました。

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