製品安全

Vol.67  2月27日号「電動車いすによる事故」

 ■■■◆        
 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週水曜日発行)
 ■    ■               <等幅フォントでご覧ください>
        ■■  ・・・‥‥…………………………………‥‥・・・
         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

=================2008. 2.27 Vol. 67=====================

 今号は、電動車いすでご注意いただきたい事故をご紹介しています。事故1
00選はモデム用のACアダプターに割れが生じた事故です。 

======================================================================
                 目次 
======================================================================
1.製品事故収集情報 
  ・電動車いすによる事故
  ・消費生活用製品の事故情報収集状況(1月31日~2月20日受付472件)
2.社告・リコール情報(9件)
3.NITEからのお知らせ
  ・電動車いす安全研究会の開催について
  ・平成18年度事故情報収集制度報告書の販売を開始
4.関係機関の製品安全情報
  ・リチウムイオン蓄電池の規制対象化に係る説明会開催について
                              経済産業省
  ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について    経済産業省
  ・R-Map実践研究会 成果発表会       財団法人日本科学技術連盟
5.事故100選
    第36回「モデム用のACアダプターに割れが生じた事故」
6.編集後記
===================================
            1.製品事故収集情報
===================================

         ◆◆◇ 電動車いすによる事故 ◇◆◆

◇1月31日~2月20日受付の事故情報の中に、電動車いすを使用中の事故があり
 ました(事故原因は現在調査中)。今回は、ご注意いただきたい電動車いす
 による事故事例をご紹介いたします。

  (事例1)電動車いすで走行中に道路から河川敷に転落し、使用者が頭
       の骨を折るなどして死亡しました。
  ----------------------------------------------------------------
  →使用者が、足の間にポリタンクを挟んで運転していたことから、運転
   操作を誤って河川敷に転落したと推定されます。

  (事例2)下り坂を走行中に、電動車いすが横転し、使用者が顔の骨な
       どを折る重傷を負いました。
  ----------------------------------------------------------------
  →座席後部下のボックス内にあるクラッチレバーが手押し移動時に使用
   する状態であったため、モーターによる制動が効かず、長い下り坂で
   加速してしまい、スピードが出過ぎたためにハンドル操作を誤って転
   倒したものと推定されます。

  (事例3)電動車いすで、傾斜のついた歩道を車道側から横断中に、歩
       道の中間付近で前輪が宙に浮いた状態となり、そのままバラ
       ンスを崩して転倒しました。
  ----------------------------------------------------------------
  →前輪が浮くことを防止するための転倒防止キャスター部を、使用者が
   フレームを切断して取り外していたため、リクライニングによって車
   いすが後方に傾いた角度に、道路の傾斜が加わり、車いすの傾きが転
   倒限界斜度を超えて前輪が浮き、バランスを崩して転倒したものと推
   定されます。

◇主に高齢の方の移動手段として使用されている、ハンドル形の電動車いすに
 よる事故は、事例1のような、運転操作を誤って側溝や川に転落し、運転者
 が亡くなる等の事故が報告されています。また、事例2のような事故もあり
 ますので、使用方法や禁止事項など取扱説明書をよく読み、注意してご使用
 ください。

      ◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
           (1月31日~2月20日受付472件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。

         製品名           (事故状況と件数)
   =========================================================
   1.電子レンジ用消毒バッグ(ほ乳びん用)(破裂等  79件)
   2.電気ストーブ            (火災等  56件)
   3.ガスこんろ             (火災   40件)
   4.石油ストーブ            (火災等  28件)
   5.石油給湯機             (火災等  16件)
 
 電子レンジ用消毒バッグ(ほ乳びん用)79件は、電子レンジで加熱中に消
毒バッグのジッパーが開いたり、破裂したりした等の事故で、昨年以前発生分
もまとめて報告があったものです。電気ストーブ56件には、火災の他、社告
対象品のハロゲンヒーターのハロゲン管が破裂した事故が含まれます。石油給
湯機16件にも、社告対象品による事故が含まれます。

<最新の製品事故情報の公表>

 最近1週間に受付をした事故情報について毎週月曜日に以下のNITEホー
ムページで公表しています。
  → http://www.nite.go.jp/jiko/sokuho/index20.html

===================================
            2.社告・リコール情報
===================================

◇松下電器産業株式会社「20型液晶テレビ」
 (無償で点検と部品交換)(H20/02/19)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080219b.html

◇日立アプライアンス株式会社(旧社名 日立ホーム&ライフソリューション
 株式会社) 「洗濯乾燥機(再々社告)」
 (平成16年1月27日、平成17年12月21日、平成19年2月27日
  の再々社告)(無料点検・修理)(H20/02/19)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080219a.html

◇ヤマハ発動機株式会社「ヤマハ電動ハイブリッド自転車PAS」
 (無償点検・修理)(H20/02/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080213b.html

◇東洋エクステリア株式会社「車庫用はねあげ門扉(再社告)」
 (平成19年5月29日に行った社告の再社告)(無償改修)(H20/02/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080213a.html

◇オカモト産業株式会社「カーワックス・「流水力 光沢耐久コート」・
 「流水力 超低摩擦シールド」」(回収)(H20/02/08)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080208.html

◇シック・ジャパン株式会社「シック・プロテクター3Dの替刃/
 シック・プロテクター3D DIAプラスの替刃」
(無償で製品交換(何らかの不具合が認められた場合))(H20/02/02)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080202.html

◇松下電工株式会社「エスコートライト(充電式携帯電灯)」
(取り替え用電池価格にて代替品と交換)(H20/02/01)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080201.html

◇三洋電機株式会社「洗濯乾燥機」(無料にて点検・修理)(H20/01/30)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080130.html

◇株式会社永泰産業/有限会社隆利(LONG-LING CORPORATION)/
 株式会社山善 「インバーターデスクスタンド」(注意喚起)(H20/01/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080129.html

■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■

 【過去1年間の社告・リコール情報】
     http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
 【社告・リコール情報の検索】
     http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

===================================
           3.NITEからのお知らせ
===================================

      ◆◆◇ 電動車いす安全研究会の開催について◇◆◆

 NITEは、経済産業省からの委託事業の一環として、電動車いすの安全性
に関する調査・検討を行うこととなりました。このため、電動車いすについて
市販品の試買テストを行い、安全性能の実態を把握するとともに、「電動車い
す安全研究会」を開催することといたしましたので、お知らせします。

【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs080227.html

   ◆◆◇ 平成18年度事故情報収集制度報告書の販売を開始 ◇◆◆

 平成18年度事故情報収集制度報告書の販売を開始いたしました。

【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/reports/H18report.html

===================================
           4.関係機関の製品安全情報
===================================

◆◆◇ リチウムイオン蓄電池の規制対象化に係る説明会開催について ◇◆◆

 近年、ノートパソコンや携帯電話等に搭載されるリチウムイオン蓄電池の発
火・発煙事故が急増していることを踏まえ、「電気用品安全法の一部を改正す
る法律」(平成19年法律第116号)において、蓄電池であって、政令で定
めるものを「電気用品」に加えました。これに伴い、電気用品安全法施行令を
改正し、一部のリチウムイオン蓄電池を電気用品として規制する予定です(平
成20年11月20日施行予定)。
 これにより、リチウムイオン蓄電池を製造・輸入する事業者は、経済産業省
令で定める技術上の基準(技術基準)への適合義務が課せられることとなりま
す。また、リチウムイオン蓄電池を販売する際は、この適合義務を履行してい
ることを表すPSEマークが付してあることが必要になります。

 経済産業省は、当該規制の円滑な施行に向けて、下記のとおり説明会を開催
します。申込み方法は下記アドレス、経済産業省「製品安全ガイド」にある、
「イベント情報」をご覧ください。
                 記
 1.日時:
  【1回目】平成20年2月29日(金)10:00~12:00(受付開始 9:30~)
  【2回目】平成20年3月 4日(火)14:00~16:00(受付開始13:30~)
           ※内容は同じです。いずれかにご参加ください。

 2.場所: 経済産業省講堂(本館地下2階)

【詳細】 経済産業省「製品安全ガイド」-イベント情報
     http://www.meti.go.jp/product_safety/index.html

  ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆  

 経済産業省は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

  2/22 http://www.meti.go.jp/press/20080222003/20080222003.html
  2/19 http://www.meti.go.jp/press/20080219005/20080219005.html
  2/15 http://www.meti.go.jp/press/20080215007/20080215007.html
  2/13 http://www.meti.go.jp/press/20080213004/20080213004.html

       ◆◆◇ R-Map実践研究会 成果発表会 ◇◆◆

 財団法人日本科学技術連盟では、一年間にわたるR-Map実践研究会の締めく
くりとして「成果発表会」(有料)を下記の通り開催いします。

 【開催日】3月12日(水) 10:00~16:50
 【会 場】東京・日科技連 東高円寺ビル
 【参加費】10,500円(税込)
 【カリキュラム】
   特別講義「R-Mapとリスクの社会的許容レベル」(松本統括主査)
   第1研究分科会「R-Mapによる開発段階からの安全構造設計」
   第2研究分科会「R-MapによるAcceptable Levelと社会心理」
   第3研究分科会「R-Mapによる事故事例解析・研究」
 【問合先】日科技連 信頼性担当 Tel:03-5378-9850 
                 E-mail: mailto:re-group@juse.or.jp
 【詳 細】 http://www.juse.or.jp/reliability/study_Rmap_2.html

===================================
             5.事故100選
===================================

    第36回「モデム用のACアダプターに割れが生じた事故」

◇平成18年、モデム用ACアダプターのプラスチックケース部分に割れが発
 生したという報告がNITEに寄せられました。当該案件について被害はあ
 りませんでしたが、取り扱い方によっては、ケースが外れて内部の回路が露
 出し、使用者がそこに触れると感電・火傷のおそれがありました。

◇割れが生じたACアダプターケースは、変性ポリフェニレンエーテル製で、
 なんらかの環境剤(油、薬品等)が影響して割れに至ったと考えられました。
 製造事業者が影響した環境剤を特定するため、製品に含まれている環境剤に
 よるテストを行ったところ、鉄心オイルに対してケース樹脂材が環境応力破
 壊を起こすことが判りました。

◇環境応力破壊は、樹脂材料と環境剤の相性に、応力が加わわった相乗作用に
 よって起こる現象で、今回の場合、ケースの樹脂材(変性ポリフェニレンエ
 ーテル)に、製品に含まれている鉄心オイルが付着し、何らかの応力が加わ
 ったと考えられました。鉄心オイルはACアダプターの内部部品に使用され
 ていました。応力については、アダプターが、下ケースと上ケースの間にト
 ランスを収納し、トランスの上部にクッション材を挟んだ構造であったこと
 から、クッション材の反発力が、アダプター内部からケースを押し上げる応
 力となっていたと考えられました。

◇以上のことから、当該品に使用されている鉄心オイルが気化し、ケースが密
 閉構造であったため、ケース内に滞留し続けてガス濃度が高まり、ケースに
 吸着したことにより、微細なクラックが発生し、さらにケース内のトランス
 固定用クッション材の反発力でクラックが進行し、ケースの破損に至ったも
 のと推定されます。

◇製造事業者は、ホームページに社告を掲載するとともに、使用者にDMを送
 付して製品交換を行い、さらに合成樹脂材料の選定にあたっては、鉄心オイ
 ル等環境剤への耐性を評価し、使用することとしました。

===================================
              6.編集後記
===================================

 ハンドル形の電動車いすを使用されている方をよく見かけるようになりまし
た。病院や買い物などに乗ってこられているのを見ると、高齢の方の便利な足
になりつつあるのかなと思います。でも、その一方で事故が起きていますので、
ご注意いただきたいですね。

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・

 ◇事故情報の検索 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

 ◇製品の事故情報をお寄せください
  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html (Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
※このメールマガジンは配信登録いただいたメールアドレスに配信しています。
間違えて配信されていましたら、お手数ですが、以下のメールアドレスまでご
連絡ください。( mailto:ps@nite.go.jp )

 このメールマガジンに関するお問い合わせ、転載のご要望等は、以下のメー
ルアドレスまでお願いいたします。( mailto:ps@nite.go.jp )

 「関係機関の製品安全情報」欄へ掲載のご希望がありましたら、以下のメー
ルアドレスあてにご相談ください。対象は製品安全に関連する情報です。
( mailto:ps@nite.go.jp )

配信の登録解除・配信メールアドレスの変更はこちらから
http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図