製品安全

事故情報特記ニュースNo.18

1998.2.24

「イア・ケアー・グッズ」製品に係る商品テスト結果等について

通商産業省は、「イア・ケアー・グッズ」製品について、事故未然防止・再発防止の観点から被害報告状況の実態調査及び品質・安全性等に関する商品テストを行い、平成10年2月20日(金)に以下を公表し、輸入元及び製造業者へ指導を行いました。

1.被害報告実態調査結果

全国の耳鼻咽喉科医500名に対し、1 製品の認識、2 当該被害報告、3 症例の各項目について実態調査を行った結果、回答のあった207名(回答率41.4%)の耳鼻科医のうち、実際に診察したと答えたのは161名(回答者の82.6%)であり、当該製品を使用したことにより被害を受けたとされる847の症例の報告を得ました。

症例としては、使用後、2~4週間後くらいに、掻痒感、難聴、閉塞感等の症状を訴え、外耳道炎、鼓膜炎、鼓膜異物等の診断を受けるケースが多いことが分かりました。

図-1 診断名の棒グラフ

図-1 製品名の円グラフ

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2.商品テスト結果

テスト銘柄は下記のとおりです。

商品テスト結果
試料

No.

ブランド名 品  名 原産国 輸入元または
製造業者名
ガーゼ
使用
OTOSAN オトサンコーン イタリア ヒロ電資(株)
製造;OTOSAN
AURIPLUS アウリプラス イタリア Prima Della
Prima Co.ltd.
製造;OTOSAN
AURISAN オーリサン イタリア (有)セーヌライン
製造;OTOSAN
Ear MAGIC イヤーマジック イタリア (株)パレックスジャポン
MiMi・キャン MiMi・キャン アメリカ (株)ジェイ・ディー・アイ・コーポレーション
(有)三幸商会
Ear Trim イヤートリム 日本 M.A.P.京都
7-1 OTTAMAGATION オッタマゲーション 台湾 メディクファーイースト(株)
製造;冠凱科技公司
7-2        
OTOCONE オトコーン イタリア FUJI.CO.,LTD.
OTOMIL OTOMIL イタリア エムズ(株) 付属品としてはないが、取説にガーゼ使用に関する記載有り
10 AURYS イヤーキャンドル カナダ (株)ノーザンライト
トレーディング

以下の7項目についてテストを行いました。

1 素材分析

構成素材(蝋部分、繊維部分)の定性分析
No. 7-2 10
蝋部 パラフィン
蜜蝋
パラフィン
蜜蝋
パラフィン
蜜蝋
パラフィン
蜜蝋
パラフィン 蜜蝋 パラフィン
蜜蝋
パラフィン パラフィン 蜜蝋
繊維部 綿 綿 綿 綿 綿 綿 レーヨン 綿 綿 綿

2 発生ガス及び凝縮物質の分析

発生ガスの成分として、炭化水素ガス等が検出されたが、皮膚接触状態であり、直接体内に吸収される状態でないため、直ちに人体に有害であるとは断定できない。凝縮物質は、素材分析の蝋部分と同様の成分が検出されたが、蜜蝋に関しては長時間の皮膚接触が考えられるため、また、アレルギー体質の人がかぶれたという症例の報告もあることから、人によっては、かゆみ、痛み等を発症する可能性はある。

3 温度測定

外耳道5ヶ所の温度上昇を、耳に対し装填使用角度90度(垂直)及び60度の2通りで行った。全般的に90度使用より60度使用の方が温度上昇が大きく、60度での使用では、蝋成分等が流下したものもあり、4試料については40.0度Cを超えた。外耳道の骨部では、皮膚が薄く敏感なため火傷の可能性もある。

4 付着物重量の測定

装填使用角度90度及び60度での使用時における外耳道の付着物量は、最大で54.7mgが確認され、ガーゼを使用したものとしないものでは明確な差異が認められた。

5 圧力測定

全試料とも負圧の発生はなく、耳垢取りとしての効果は確認されなかった。

6 燃焼状況観察

使用時における発生ガスの流れは、ガーゼを使用しない場合、装填使用角度に関係なく一瞬にして鼓膜まで到達した。しばらく後外耳道へのガスの流れはほぼ止まり、試料下部に発生ガス凝縮物質が堆積した。

7 実使用観察

日本耳鼻咽喉科学会紹介の専門医が人体に対する実使用観察を行った結果、異物等の汚れ物質がない外耳道に、当該製品を使用した結果、「薄い黄白色の粉状の異物の付着」と「それらの粉が集まってできた軟らかいモワモワした感じの塊」が確認でき、吸引器を用いても全てを除去することはできず、一部の粉は外耳道壁に付着したままであった。

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3.輸入元及び製造業者に対する指導

商品テスト及び被害報告実態調査結果から、使用者の個人差はあるものの、外耳道炎、鼓膜炎等の症例報告を踏まえ、関係業者においては製品の改善、取扱説明書等使用に対する十分な説明をするなど、徹底した安全対策を講ずることが急務と考えられる。

したがって、通商産業省としては、関係業者に対し当該製品の商品テスト及び被害報告実態調査結果を説明し、以下の3点について万全なる安全対策を講ずるよう周知徹底を行った。

  • 1 発生ガスが外耳道、鼓膜まで流入しないよう改善を図ること
  • 2 取扱説明書等において使用方法及び注意表示の徹底を図ること
  • 3 「耳垢が取れる」等の標榜は使用者に誤解を与えるので、この旨の記載があるものについては削除すること

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図