製品安全

事故情報特記ニュースNo.30

2000.7.27

婦人用ブラウスの着用による皮膚炎に係わる注意喚起

当省が収集した事故情報において、衣類等の着用によって皮膚炎が発症する事故が散見されていますが、このたび着用により皮膚炎を発症した「婦人用ブラウス」についてテストを実施した結果、生地の染色に用いられていた染料によりアレルギー性接触皮膚炎を発症したことが確認されました。このため、事故の再発防止等を図る目的で、当該事故に関する情報を提供することとします。

1.事故の発生状況

新品の婦人用ブラウスを半日着用したところ、両肩、胸部、背部等ブラウスの生地が皮膚に接触した部分がかゆくなり赤くなりました。被害者は、皮膚科医師から婦人用ブラウスの着用によるアレルギー性接触皮膚炎1)と診断されました。

  1. 1)アレルギー性接触皮膚炎
    アレルギー反応は、人間の身体の防御反応の一つであり、何らかの物質が身体に侵入したときに、侵入物質を異物とみなした場合、防御反応として激しいかゆみ等を覚えたりします。原因物質が接触により皮膚から吸収されアレルギー反応を示す場合をアレルギー性接触皮膚炎といいます。

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2.事故品

生 産 国:
(生地)イタリア(縫製)日本
輸入数量:
ブラウス用生地一着分
販売数量:
婦人用ブラウス一着(事故品)
販売時期:
1998年7月
表  示:
組成表示 表地
アセテート 67%
綿 29%
ポリウレタン 4%

取扱い絵表示

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3.事故原因

事故原因を究明するため、化学分析及び検出成分によるパッチテスト2)を行った結果、ブラウス生地の染色に用いられていた6種類のアセテートを染色する染料のうち、3種類の染料(赤色分散染料(C.I.ディスパース レッド82)、オレンジ色分散染料(C.I.ディスパース オレンジ 30)、青色分散染料(C.I.ディスパース ブルー 124))により被害者がアレルギー性接触皮膚炎を発症したものでした。このうち、主たる原因物質は、青色分散染料(C.I.ディスパース ブルー 124)でした。

  1. 2)パッチテスト
    パッチテストは、皮膚炎の原因として疑わしい物質を含ませたシールを被害者の皮膚に貼って、一定時間経過後に皮膚に炎症が起きるかを調べるものであり、治療にあたった皮膚科医師が、医療機関において被害者の同意を得て実施しました。

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4.注意喚起事項

今回の事故原因物質である分散染料及びこれを用いた染色加工については、繊維製品に含まれる有害物質を規制する法律、行政通達等の何れにおいてもその対象として指定されていないため、安全基準に関する適否の判断はできません。

また、アレルギー性接触皮膚炎は、被害者の体質や化学物質との接触頻度により発症する場合としない場合があり、個人差があります。

しかし、発症に個人差はあるものの、主な事故原因であった青色分散染料( C.I.ディスパース ブルー 124) は、アレルギー性接触皮膚炎の原因物質として、近年、日本接触皮膚炎学会等で注目されている染料であり、本件と同様な事故の再発防止等の観点から、消費者、関係業界、消費生活センター等に情報を提供し注意喚起を行うものです。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図