バイオテクノロジー

平成23年度 微生物資源に関するアンケート調査

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調査の目的

国際微生物学連盟(IUMS)が札幌で開催されるにあたり、niteは共催機関として運営を支えると共に、その場を活用して微生物資源に関するアンケート調査を実施しました。

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調査方法

2011年9月6日から16日までのIUMS 2011の会場にて、各国参加者に和英併記のアンケート用紙を配布し、協力を呼びかけました。回収は広報ブースの回収箱にて行いました。同時に携帯電話等でアクセスできるウェブ上の回答フォーマットを準備しましたが、こちらは回答者無しでした。

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アンケート内容

微生物資源の取扱いに関する法令・条約等の認知度や、保存・提供施設への要望を伺いました。

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調査結果

72名(和44名、英:28名)からご回答を得ました。IUMSは前半(9/6-10)がMicrobiology(微生物学)、後半(9/11-16)がVirology(ウイルス学)の各セッションに分かれていました。前半では和:32名、英:17名の計49名、後半では和:12名、英:11名の計23名の回収でした。推定配布数に対する回収率は1.6%でした。

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1. 回答者について

設問1(和/英):あなたは普段、業務や研究において以下の何を扱っていますか?(複数回答可)

「生きた微生物」にチェックを入れなかった回答者はわずか4名で、ほとんどの回答者が生きた微生物を扱っていました。微生物学/ウイルス学、和/英の差による分布の偏りもありませんでした。(図1)

設問2(和/英):研究者同士で微生物株のやりとりをしたことがありますか?(複数回答可)

設問2においても、微生物学/ウイルス学、和/英の差による分布の偏りはなく、日本国内の研究者も海外の研究者も、等しくそれぞれ国内外とほぼ均等に微生物の輸出入を行っていると推察されました。(図2)

Fig1, 2

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2. 関係法律・条令の認知度

設問3(和のみ):微生物の取り扱いに関する条約や法令について、ご存じのものは?(複数回答可)

Fig3回答欄には全て微生物に関係する法律を5つとも設けた。感染症法、植物防疫法、生物多様性条約は十分認知されているとみなせるが、家畜伝染予防法の認知度は約半分、外為法は十分とはいえないレベルであることがわかりました。生物多様性条約は去年(2010年)のCOP10もあり、認知度が最も高くなったと推察されます。

設問4(和のみ):規制の対象となる微生物株を持っていますか?「持っている」と答えた場合、その対象にかかる法律等(複数回答可)

Fig4設問3の割合と併せると、研究者が自身で所持する微生物株に関する法律・条約等は承知しているが、その他は知らないという状況ではと思われます。(図4)

設問5(英のみ):国と国を越える微生物の移送に、CBDが関わることを知っていますか?

「知らない」と答えた回答者は0で、海外研究者は国内研究者よりもCBDを認知し(100%)、常に意識しているようです。(図5)

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3. 微生物に必要な情報

設問6(和/英):微生物を研究材料として、安心して利用するために、材料(微生物株及びその派生物)に適切、かつ明確な情報を添付することが望まれています。どのような情報が必要だと思いますか? (複数回答可)

「学名」(同定)と「安全性レベル」は直結するため、この2つがトップになっていると思われます。しかし、和では「学名」にチェックを入れた人は「安全性レベル」にもチェックを入れた人がほとんどだったのに対し、英では「安全性レベル」のみにチェックを入れた人の割合がやや高かったです。「その他」で欄外に、「分離源の情報(土壌分類名、植物名etc.)」を加えた回答がありました。(図6)

Fig5,6

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4. カルチャーコレクションとNBRCの認知度

設問7(和/英):カルチャーコレクションをご存じですか?(複数回答可)

この設問は和/英の偏りはありませんでしたが、微生物学/ウイルス学の偏りが大きく、微生物学では「知らない」と答えた回答者は0だったのに対し、ウイルス学では「知らない」「知っているが使ったことがない」と答える率が多かったです。(図7)

設問8(和/英):「NBRC」を知っていますか?(複数回答可)

設問7と同様、「知らない」と答えたのは微生物学では一人のみで、ほぼウイルス学の回答者でした。「知っているが使ったことがない」と答えた方が多く、微生物資源保存・提供機関の中でのNBRCの利用率はまだ改善の余地があることが伺えます。(図8)

設問9(英のみ):過去に日本のカルチャーコレクションを使ったことがありますか?(複数回答可)

「No」という回答欄は設けていなかったが、わざわざ書き込む人が多かったので図には付け足した。無回答はグラフに反映されていません。「Others」の後の括弧に記入されたのは、IAM、CBS(オランダ)、IFM、IFO、Micologist(CCではなく研究者から譲渡されたという意味と推測される)が1人ずつ。なお、ウイルス学の回答者で、「NBRC」または「JCM」の回答は0でした。(図9)

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5. ご期待・ご要望

設問10(和のみ):日本のカルチャーコレクションについて

(図10)「整備が遅れている分野」の後の括弧内の記入は、以下のとおりでした。

  • オンラインDB
  • 菌株数が少ない、特にカビ
  • ツボカビ・ラビリンチュラ、接合菌(2件)
  • 1つにしてほしい
  • 基準株がそろっていない種がある
  • 病原菌、特に臨床分離株のコレクション
  • 知名度が低いのでは?存在を知らない人も多いと思う。
  • ウイルス

微生物学では「海外にひけをとらない」と答える割合が高いのに対し、ウイルス学では「整備が遅れている」と答える割合が高い傾向にありました

Fig7-10

設問11(和のみ):日本のカルチャーコレクションに要望があればお書きください。

ご意見・ご要望 対応
海外機関との共通情報 NBRCは、世界微生物保存同盟(WFCC)やOECD BRCネットワーク、アジアの生物資源センターの連携(ACM)を通して、相互の情報交換を密に行っていきます。統合的なオンライン検索として、ABRCNJSCCカタログなどに貢献しています。
菌株の付帯情報の検索を簡単にできるシステムを整えて欲しい
食品衛生法の「食品・添加物等の規格基準」に基づく検査がありますが、陽性コントロールとして使用できる菌株をインターネット上で情報公開いただけるとよいです(E. coli でもガス産生強いもの、弱いものがあるので) 貴重な情報をありがとうございました。NBRCでは検定に使われる菌株の性状調査を行って、情報提供することを計画しています。E. coli のガス産生能も調査項目に加えたいと存じます。
塩基配列情報の整備拡充。株数・規模拡大。同定精度向上(機関独自の再同定) NBRCで保有・分譲している菌株については、順次、rDNAなどの塩基配列解析を進めております。また、ゲノム解析も鋭意、遂行していきます。
用途に合った株がない。スクリーニング用に安い株が欲しい スクリーニング用に安価でご利用いただける菌株を整備しております。また、NBRC株も1度のご注文で10株以上まとめてお申し込みいただくと、10%割引となりますので、是非ご検討ください。
購入費をもう少し安くして欲しい。たとえば2回目からは5%引きとか、論文に使ったら10%引きとか
もっと使いやすく
難培養性糸状菌類。通常の研究所は研究者の定年とともにその研究者のみが培養していた学術上重要な菌株が滅びる可能性が高い 貴重な菌株が失われないよう、NBRCも積極的に受け入れる所存です。nbrc@nite.go.jpまでご連絡ください。
我が国の重要な微生物資源である臨床分離株を国レベルで管理するカルチャーコレクションが必要です ありがとうございます。今後も利便性が向上するよう努力いたします。
ウイルスのコレクションはニーズがあると思うが・・・
もっとPRを行ってほしい。殆ど知られていない存在

多く寄せられるご要望としましては、分譲に関して「もっと低価格で」、品揃えに関しては「いろいろと揃えて欲しい」、寄託に関しては退官後の菌株を預けたいという声が多いです。これまでNBRCが行ったアンケートともほぼ共通する内容でありました。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  生物資源利用促進課
TEL:0438-20-5763  FAX:0438-52-2329
住所:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 地図
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