バイオテクノロジー

アクチノプラネス属放線菌
Actinoplanes missouriensis 431T(= NBRC 102363T))

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本菌はA. missouriensis の基準株で、アメリカのミズーリ州のハミルトン近くの堆肥土壌から単離された株です。Actinoplanes 属放線菌は、土壌に生息するグラム陽性の糸状性細菌で、胞子嚢を形成します。胞子嚢には鞭毛を有する運動性胞子が含まれており、水に接触すると胞子嚢が裂開し、走化性を示す胞子が放出されます。また、Actinoplanes 属放線菌は、様々な抗生物質、酵素、その他生理活性物質を生産するため、そのゲノムは二次代謝産物や酵素の探索源となることが期待されます。本菌は糖質変換に利用されるキシロースイソメラーゼを生産するほか、フラボノイド、天然ゴムなどに対して高い分解活性を持つことから、これらの工業的な利用が期待されます。

本菌のゲノムは、8,773,466bpからなり、GC含量70.8%の1本の環状染色体で構成されます。431T(= DSM 43046T)は1本の線状プラスミド(pAM1)を有すると報告されていますが、今回ゲノム解析した本菌(431T(= NBRC 102363T))には同様のプラスミドは見つかりませんでした。本菌では継代培養を繰り返すうちに、プラスミドが抜け落ちた可能性が考えられます。同じMicromonosporaceae 科の、Micromonospora 属やSalinispora 属のような他属細菌に比べ、本菌のゲノムサイズは大きく、全部で8,204個の遺伝子が予測され(8,125個のORFと、79個のRNA遺伝子)、ORFの半分以上(4,539、55.9%)は機能が予測されましたが、残りの遺伝子については、hypothetical protein とアノテーションされました。


Actinoplanes missouriensis 431T 電子顕微鏡写真
早川教授(山梨大学) 提供

ゲノムサイズ(bps) 8,773,466
ORF 8,125
GC含量(%) 70.82
データベース DOGAN
NBRC番号 102363
代表共同研究先 国立大学法人 山梨大学

References:

[1] Complete genome sequence of the motile actinomycete Actinoplanes missouriensis 431T (= NBRC 102363T).
Yamamura H., Ohnishi Y., Ishikawa J., Ichikawa N., Ikeda H., Sekine M., Harada T., Horinouchi S., Otoguro M., Tamura T., Suzuki K., Hoshino Y., Arisawa A., Nakagawa Y., Fujita N., Hayakawa M.
Stand. Genomic Sci. 7 (2012) 294-303 [PMID:23407331]
[2] Some new genera and species of the Actinoplanaceae.
Couch J.N.
J. Elisha Mitchell Sci. Soc. 79 (1963) 53-70

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