バイオテクノロジー

バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書

バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書について

NITEは、バイオテクノロジー産業の健全かつ中長期的な発展に貢献するため、「バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書」を発表し、平成28年1月14日に経済産業省に提出しました。

本提言書は下記の「健康・医療」「物質生産(スマートセルインダストリー)」「地方創生」「基盤となるバイオバンク・BRC(生物資源センター)」の4分野を中心に、取り組むべき政策をとりまとめたものです。

我が国のバイオ産業の新たな発展に向けて、我が国の強みを再認識し、グローバル経済の中での競争に勝ち残っていくことが求められます。最先端の研究成果をベースに、我が国が培ってきた伝統的なバイオテクノロジーである「発酵技術」も活かしつつ、“日本の戦い方”で取り組むことにより、バイオテクノロジー産業において今後我が国が大きな市場を獲得していくことが期待されます。

NITEは、生物遺伝資源の基盤整備等を行うことにより、バイオテクノロジー産業の発展を支援してまいります。

バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書【PDF:845KB】

バイオテクノロジー産業の新たな発展に向けた政策提言書の概要【PDF:838KB】

健康・医療

(現状)
微生物の生産する化合物が創薬シードとして探索されてきたが、長年の探索により新規母核を有する化合物の発見が減少し、多くの企業が微生物からの創薬シード探索から撤退
一方、バイオベンチャー企業では新たな選抜法を開発し、新規創薬シードを発見
(課題)
我が国の強みである天然物創薬の再活性化
有効な治療法のない希少疾患や感染症等へのオープンイノベーションの活性化
(対応策)
新規生理活性物質探索のための微生物資源の提供体制の充実
一次選抜を効率化させる微生物資源に関する情報の提供
バイオベンチャー企業による独創的な研究開発の成果を産業へと着実に発展させるための公的な仕組みを充実

物質生産(スマートセルインダストリー)

(現状)
欧米の研究機関、企業において合成生物工学に関する研究開発を推進
バイオプラスチックの原料となるコハク酸、農業廃棄物を原料とするバイオ燃料の商業生産が開始
資源・エネルギー問題を克服し、環境と調和を図りながら持続的な社会を構築するには、バイオプロセスを活用した物質生産への転換が不可欠
(課題)
生物が持つ多様な機能と複雑なプロセスの制御
(対応策)
データ(多様な情報)を集約し、人工知能的な学習を行うプラットフォーム技術の開発と構築
多様な生物資源の供給基盤、オミックス技術、合成生物工学に関する技術の融合により、「スマートセル」を作成
スマートセルを利用した「スマートセルインダストリー」を実現
 ※本来、生物(植物、微生物)が持つ物質生産能力を人工的に最大限引き出した細胞

地方創生

(現状)
微生物発酵産業における中小企業の多くは、個々の技術者の経験やノウハウに依存
バブル経済崩壊以来、新技術の導入や設備投資が控えられてきたが、地方創生の動きや海外での和食ブーム等により新たな投資の機運
地域資源を活かしバイオテクノロジーにより、地域において新商品・新サービスを創出することが可能
(課題)
市場ニーズに応え競争力のある「世界一のローカル産業」の構築
地域におけるプレーヤーの役割の明確化と連携体制の構築
 ※企業、大学、高専、研究機関、支援機関、金融機関、地方公共団体、行政機関等
(対応策)
ポテンシャルとシーズがある地域でのプレーヤー間の連携・ネットワーク構築、各々の役割を明確化
バイオ先端技術導入による地域でのイノベーション推進等、持続可能な微生物産業の支援体制の構築

基盤となるバイオバンク・BRC

(現状)
バイオバンクは、ヒトの生体試料やゲノム情報を収集・保管・提供する機関
BRC(生物資源センター)は、植物や微生物などの生物資源とそれらの遺伝情報を管理・保存・提供する機関であり、生命科学研究を支える不可欠な基盤
(課題)
医薬品・診断薬の開発を促進するため、研究基盤となる生体試料等の共有
産業界がゲノム情報、医療情報、試料等に適切にアクセスできる環境の整備
(対応策)
産業利用を視野に入れた試料の提供と権利の明確化
バイオバンク・BRCに付帯する情報整備の推進
ヒト由来試料等の利用に関する国民理解の普及・啓発

その他 バイオ産業を取り巻く状況

名古屋議定書

名古屋議定書の締約国は、自国の生物資源へのアクセスに対し、法的・行政的手続きを要求
我が国の研究・開発活動が著しく阻害されないよう国内外の生物資源の簡便な利用のための中心的機能としてのBRCの役割大

バイオベンチャー企業

日本は米国に比べ、バイオベンチャー企業へのイノベーションの推進について20年の遅れ
しかし、近年は国内バイオベンチャー企業の時価総額は大きく拡大(ベンチャー発展の兆しあり)
日本が得意とする相互扶助やチームワークを活かした取組みとともに、その一役を担うバイオベンチャー企業が参入しやすい環境の整備が必要

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まとめ

我が国のバイオ産業の新たな発展に向けて、我が国の強みを再認識し、グローバル経済の中での競争に勝ち残っていくことを目指すべきである。最先端の研究成果をベースに、我が国が培ってきた伝統的なバイオテクノロジーである「発酵技術」も活かしつつ、“日本の戦い方”で取り組むことが重要である。

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