バイオテクノロジー

アゾ色素

色素と特定芳香族アミンについて

還元分解

 繊維製品を染色する染料の中で、化学構造の中にアゾ結合をもつアゾ染料は、主要な染料です。
 アゾ染料は、何らかの作用により、アゾ結合(-N=N-)が還元分解し、芳香族アミン化合物(芳香環-NH2)を生成することがあります。芳香族アミンの中で24種の物質が、世界保健機関(WHO)の外部機関である国際がん研究機関 (IARC)が公表している発がん性リスクの一覧に記載されています。これらの発がん性リスクのある芳香族アミンを「特定芳香族アミン」と呼んでいます。
 アゾ色素は、皮膚表面の細菌、腸内細菌、肝臓などで還元分解し、特定芳香族アミン化合物を生成すると考えられます。
 ヨーロッパや中国、韓国などでは、既に特定芳香族アミンを生成するアゾ染料について、皮膚と長時間接触する繊維製品への使用が規制されています。

特定芳香族アミン化合物(24種類)

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日本での状況

日本では、日本繊維産業連盟及び日本皮革産業連合会が,それぞれ自主基準を策定しました。

分析方法のJISが制定されたことから、NITEでは、分析ができる試験所の認定【PDF:268KB】を開始しました。

さらに、平成27年4月8日、厚生労働省より「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令」の一部が改正されました。この改正により、24種の特定芳香族アミンを生成するアゾ染料の使用が規制されました。分析方法は、平成27年7月9日、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則の一部を改正する省令」により、定められました。

平成28年4月1日から家庭用品規制法における特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料の規制が始まります(厚生労働省のページへリンク)

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NITEでの解析

皮膚表面でのアゾ色素の還元分解は、皮膚常在菌により起こると考えられています。26株の皮膚常在菌について、菌の培養液中に色素を投入すると芳香族アミンが生産されることが、報告されています。この分解には、アゾリアクターゼ(AzoR1)という酵素が関わっていることが分かっています。
 実際の着用時では、生地から染料が溶出し、皮膚表面に付着して菌により還元分解される場合と、生地へ菌が付着して還元分解する場合の2つが考えられます。NITEでは、生地上で皮膚常在菌がアゾ色素を芳香族アミンに分解するかどうかを確認する試験を行いました。


 NITEでは以下の手順で解析を行いました。
 皮膚常在菌はStaphylococcus aureus、アゾ色素はC.I.Direct Red 39を代表例として選定しました。C.I.Direct Red 39で染色した生地を液体培地で湿らせ、Staphylococcus aureusをその上に植菌しました。培養後、生地より代謝物を抽出し、GC/MS, FT-ICR-MS, LC/MS/MSで分析を行いました。
 試験の結果、多くの代謝産物が検出されました。試験結果については、経済産業省に報告し、政令改正に際して技術面で貢献しました。

  • GC/MS:ガスクロマトグラフ質量分析計
  • FT-ICR-MS:フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計
  • LC/MS/MS:液体クロマトグラフ質量分析計

代謝産物生成芳香族アミンの分析

特定芳香族アミン化合物の検出試験結果

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お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  解析技術課
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