GHS分類結果

名称:アセトニトリル
CAS番号:75-05-8

結果:
物質ID: 6
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(2002)による引火点は12.8℃(密閉式)、かつ沸点は82℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3、容器等級II(国連番号1648)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点524℃(ICSC,2002))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス3(国連番号1648)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経口投与試験のLD50 3,800、1,320、2,460、2,230、1,730、6,740、3,200、160、3,070、3,470、4,050 mg/kg(EHC 154(1993))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=2,080 mg/kg から区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 3,940、980、390mg/kg(EHC 154(1993))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=390 mg/kg から区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50 26.8 mg/L(4時間)(EHC 154(1993))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の16000 ppmが得られた。 飽和蒸気圧88.8mmHg(25℃)[換算値 11800Pa(25℃)](HSDB(2005))における飽和蒸気圧濃度は117000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - EU-RAR No.18(2002)記載中のウサギを用いたEPA/OECD Guidlineに従った皮膚刺激性試験におけるDraize scoreはすべての観察時間、すべての動物で「 0」のため、皮膚刺激性はなかったと判断し、「区分外」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
EU-RAR No.18(2002)記載のウサギを用いた眼刺激性試験で平均スコアーが角膜混濁1.45、結膜発赤3であるため区分2であるが、2Aと2Bを区分できる情報がないため区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から、2Aとしたほうが望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - EU-RAR No.18(2002)記載のモルモットによる皮膚感作性試験は、OECDテストガイドラインに基づいたGLP試験で、信頼性の高い「陰性」であるが1試験結果のみであり、また、ヒトへの事例についてPriority 1の文献中になんらの記載もないため、分類するにはデータ不足であり、「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EU-RAR No.18(2002)、DFGOT vol.19(2003)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH(2002)でA4、EPA(1999)でDに分類されていることから区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足(親動物の生殖機能、受精能力に関するデータなし。)のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系、呼吸器) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについて、「胸の痛み、胸部狭窄感、はきけ、嘔吐、頻脈、低血圧、頻呼吸、頭痛、不眠、意識混濁、発作」(CERIハザードデータ集 96-17(1997))、「顔の紅潮、胸部狭窄感、肺水腫、痙攣、意識喪失」(環境省リスク評価 第2巻(2003))等の記載があることから中枢神経系、呼吸器が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系、呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「過伸展反射、興奮性、協調不全、慢性肺炎、肺気腫、無気肺、胸水、肺胞内の組織球の凝集、肺胞中隔の細胞浸潤、気管支炎、腎臓の近位および曲尿細管の限局性混濁腫脹、脳の限局性硬膜あるいは硬膜下出血」(EU-RAR No.18(2002))、「赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度の有意な減少、肝細胞の空胞化及び肥大、気管支炎」(環境省リスク評価 第2巻(2003))等の記述から、中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓が標的臓器と考えられた。実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1995)他から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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