GHS分類結果

名称:エチレンオキシド
CAS番号:75-21-8

結果:
物質ID: 12
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2004)による爆発限界下限値は3vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1およびクラス・区分2.3(国連番号1040)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告がクラス・区分2.1およびクラス・区分2.3(国連番号1040)。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2004)による沸点は11℃、かつHSDB(2005)による臨界温度は196℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1およびクラス・区分2.3(国連番号1040)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験の LD50=330 mg/kg(CaPSAR(1999))、72 mg/kg(環境省リスク評価第2巻(2003))のうち、低い値に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験の LC50=1,460 ppm(CaPSAR(1999))、800 ppm(環境省リスク評価第2巻(2003))のうち、低い値に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義によるガスであるため、蒸気での吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義によるガスであるため、粉塵・ミストでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、「炎症性浮腫」がみられた(CERI・NITE有害性評価書(2005))こと、及びEUリスク警句の分類から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - EUリスク警句の分類では区分2に相当するが、ウサギのデータでは刺激性があることを予想させるものの投与方法、期間が通常の刺激性試験とは異なるため分類できないとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.36(2005)、CICAD 54(2003)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性であることから、区分1Bとした。
6 発がん性 区分1B 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2002)でA2に分類されていることから、区分1Bとした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.36(2005)、CICAD 54(2003)の記述から、雄動物における配偶子の生成異常及び母動物への一般毒性がみられない用量で胎児発生への影響がみられることから、区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「気道刺激性」、「ほとんどすべての吸入暴露例で吐き気、嘔吐、頭痛で特徴付けられる神経系に対する急性影響がみられ、例として多くないが意識低下(1例で昏睡)、興奮、不眠、脱力、下痢、腹部不快感」(EHC 55(1985))等の記述、実験動物については、「呼吸困難、流涙、協調不全、意識混濁、下痢」(NTP TR326(1987))等の記述があることから、標的臓器は中枢神経系であり、気道刺激性もみられる。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、末梢神経系、血液)、区分2(腎臓、呼吸器) 危険
警告
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓、呼吸器)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、末梢神経系、血液)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「腓腹神経の髄鞘と軸索の変性」、「下肢の感覚障害と歩調の乱れを主訴とする多発性神経病」、「全ての精神運動テストでパフォーマンスの低下、非暴露者と比べて手・眼の協調テストで有意 な低下」、「精神運動スキルの諸テストの有意な低下、認識障害」、「ヘマトクリット値とヘモグロビン量の減少」(CERI・NITE有害性評価書 No.36(2005))等の記載があり、実験動物については、「延髄薄束核の軸索ジストロフィー、薄束の軸索終末の脱髄、骨格筋萎縮」、「後肢運動失調、後肢神経有髄線維の軸索変性」、「RBC、Hb、Ht、骨髄細胞密度、リンパ球数の減少」、「腎尿細管の変性、脾臓や胸腺でのリンパ球の壊死、鼻炎」(CERI・NITE有害性評価書 No.36(2005))等の記載があることから標的臓器は中枢神経系、末梢神経系、血液、腎臓、呼吸器と考えられる。なお、実験動物に対する影響のうち中枢神経系、血液に対しては区分1相当、末梢神経系、腎臓、呼吸器については区分2相当のガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系、末梢神経系、血液)、区分2(腎臓、呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 分類対象外

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=84mg/L(EHC55、1985)他から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:107%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-0.3(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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