GHS分類結果

名称:クロロエタン
CAS番号:75-00-3

結果:
物質ID: 23
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2004)による爆発限界下限値は3.6vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1(国連番号1037)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分2.1(国連番号1037)。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2004)による沸点は12.5℃、かつMerck(13th,2001)による臨界温度は187.2℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1(国連番号1037)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(2時間)=57,576 ppm(環境省リスク評価第2巻(2003))、60,632 ppm(ACGIH(7th, 2001))から、計算式を適用して得られた LC50(4時間)=40,700 ppm、42,800 ppm のうち、低い方の値を適用して、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、蒸気での吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、粉塵・ミストでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
CERI ハザードデータ集 99-14(2000)のウサギを用いた眼刺激性試験結果の記述「角膜混濁、角膜上皮の障害がみられた」から、刺激性の強度が不明であるため区分2A-2Bとしたが、細区分が必要な場合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CERI・NITE有害性評価書 No.41(2004)、NTP DB(Access on January 2006)、IARC 71(1999)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性、であることから区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2001)でA3に分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足(生殖能に関するデータなし。)のため、分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器、肝臓、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「麻酔作用」(NITE初期リスク評価書 No.41(2005))等の記述、実験動物については、「肺、肝臓、腎臓に組織学的変化」(CERIハザードデータ集 99-14(2000))等の記述があることから、呼吸器、肝臓、腎臓を標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、神経系)、区分2(呼吸器) 危険
警告
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「肝臓の肥大と一過性の肝機能障害、てんかん発作、運動失調、歩行困難、見当識障害、短期記憶障害、幻覚」(NITE初期リスク評価書 No.41(2005))等の記述、実験動物については、「肝機能不全、血圧低下、白血球の貪食能抑制、肝臓の脂肪変性と肺の肺胞中隔の肥厚」(CERIハザードデータ集 99-14(2000))等の記述があることから、肝臓、神経系、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(肝臓、神経系)、区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 常温で気体のため、分類対象外

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=58mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)他から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.43(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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