GHS分類結果

名称:ブロモメタン
CAS番号:74-83-9

結果:
物質ID: 64
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(1999)による爆発限界下限値は10vol%であり、「区分1」に該当する。なお、国連危険物輸送勧告では、引火性/可燃性ガスに該当せず、特別規定で、「限られた条件でのみ可燃性を示す」としている(国連番号1062(クロロピクリン2%を超えないもの))。また、GHS文書では、引火性/可燃性ガスの分類基準で、「規制目的によっては特殊例と見なされる」としている。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分2.3(国連番号1062(クロロピクリン2%を超えないもの))。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(1999)による沸点は4℃、かつMerck(13th,2001)による臨界温度は194℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.3(国連番号1062(クロロピクリン2%を超えないもの))。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 214mg/kg(SIDS(2003))から、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット用いた吸入暴露試験(ガス)のLC50 600ppm(農薬申請登録資料(1980))から区分3とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、粉塵・ミスとでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギでの試験で、ごく軽度な紅斑が24時間後に認められたが(1/6羽)、48時間後には消失している(農薬登録申請資料(1979))ことから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギによる試験で、軽度の結膜刺激性が観察されたが24時間後は全て回復した(農薬登録申請資料(1979))ことから区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - Ames試験で陽性であったが、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性(農薬登録申請資料(1983))であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - 混餌投与による24ヶ月の発がん性試験で腫瘍発生の増加は見られなかった(農薬登録申請資料(1988))。また、ACGIH(2001)でA4、IARC(1999)でグループ3、EPA(1990)でDに分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
SIDS(2003)、IRIS(2005)、CERIハザードデータ集 2000-28(2001)の記述から、ウサギの催奇形性試験で母動物に一般毒性を示す用量で児動物に奇形(fused sternebrae、missing gallbladder or missing caudal lobe of lung)がみられていることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、呼吸器、腎臓、副腎) 危険 H370: 臓器の障害(神経系、呼吸器、腎臓、副腎) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスの吸入暴露において、自発運動の低下、呼吸数の減少、肺炎様変化が見られ、腎臓と副腎うっ血が見られたとの報告がある(農薬登録申請資料(1980))。これらの影響は区分1に該当する濃度で認められたことから、区分1(神経系、呼吸器、腎臓、副腎)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、心臓、精巣) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、心臓、精巣) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入暴露において、脳に浮腫・うっ血・壊死が認められた。また、心臓では線維化が認められ、同時に四肢麻痺が認められた(農薬登録申請資料:臭化メチル)。また、精巣の萎縮も認められた。これらの影響は区分1に相当するガイダンス値で見られたことから、区分1(神経系、心臓、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHS定義におけるガスのため、分類対象外とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(グッピー)の96時間LC50=0.3mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1、急速分解性がなく(BODによる分解度:15%(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.19(PHYSPROP Database、2005)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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