GHS分類結果

名称:りん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニル
CAS番号:62-73-7

結果:
物質ID: 76
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - NFPA(13th,2002)による引火点は177℃(開放式)であり、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3018(有機リン系殺虫殺菌剤類、液体、毒性のもの)(ICSC,2004)。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3018(有機リン系殺虫殺菌剤類、液体、毒性のもの)(ICSC,2004))。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3018(有機リン系殺虫殺菌剤類、液体、毒性のもの)(ICSC,2004))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度10,000mg/L(20℃)、HSDB(2006))。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3018(有機リン系殺虫殺菌剤類、液体、毒性のもの)(ICSC,2004))。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3018(有機リン系殺虫殺菌剤類、液体、毒性のもの)(ICSC,2004))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットでの急性毒性試験のLD50が56mg/kg(農薬登録申請資料(2003))との報告があることから、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットでの急性毒性試験のLD50が75mg/kg(農薬登録申請資料(2003))との報告があることから、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 蒸気暴露での急性毒性試験データが無いため、分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(1時間)=0.455 mg/L(EHC 79(1988))、LC50(4時間)=0.34 mg/L(EHC 79(1988))、0.65 mg/L、0.523 mg/L、0.447 mg/L(PATTY(4th, 1999))は、計算式を適用するとそれぞれ 50.3 ppm、38 ppm、72 ppm、57.9 ppm、49.4 ppm となる。 飽和蒸気圧 0.0158 mmHg(25℃、2.11 Paに相当)における飽和蒸気圧濃度は20.9 ppmであり、上記の条件はいずれもこの値よりも高いことから、「ミスト暴露」であると考えられる。 計算式を適用して得られた LC50(粉塵・ミスト、4時間)=0.266 mg/kg に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギによる皮膚刺激性試験で、回復可能な軽度の刺激性が認められたとの報告(農薬登録申請資料(2003))から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギによる眼刺激性試験で、角膜と結膜に刺激性が認められたが、5日目に反応が消失したとの報告から(農薬登録申請資料(2003))、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットでの皮膚感作性試験(Maximization法)で陽性の結果が報告されている(農薬登録申請データ(2003))ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vitro染色体異常試験で陰性の報告があるが(農薬登録申請資料(2003))、NTP DB(Access on Apr., 2006)、IARC 53(1991)、ATSDR(1997)、DFGOT Vol.4(1992)、CERI・NITE有害性評価書 No.86(2005)の記載から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットでの経口投与および吸入暴露での発がん性試験で腫瘍発生の増加がなかったとの報告がある(農薬登録申請資料(2003))。また、ACGIH(2001)でA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 農薬登録申請資料(2003)、IARC 53(1991)、EHC 79(1988)、ATSDR(1997)、CERI・NITE有害性評価書 No.86(2005))の記載から、親動物に一般毒性を示す用量まで親動物の生殖、児動物の発生に影響がみられないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスでの試験で、眼球突出、過剰流涙、流涎、全身性筋線維束攣縮および振戦が観察された(農薬登録申請データ(2003))との報告がある。これらの影響は区分1に相当するガイダンス値で認められたことから、区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット及びイヌによる試験で、コリンエステラーゼ阻害に起因する神経系への影響、肝細胞にび慢性の空胞変性、脂肪変性、肝細胞腫脹、胆状の軽度なうっ帯との報告がある(農薬登録申請資料(2003))。実験動物に対するこれらの影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(神経系。肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=0.000019mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2005)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.47(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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