GHS分類結果

名称:4,6-ジニトロ-o-クレゾール
CAS番号:534-52-1

結果:
物質ID: 78
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値は-97であるが、分解開始温度および分解エネルギーのデータがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1598)。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1598)。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に、爆発性に関わる原子団としてニトロ基を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1598)。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点340℃(ICSC,2004))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点87.5℃(ICSC,2004)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=25 mg/kg。31 mg/kg、50 mg/kg、85 mg/kg(EHC 220(2000))から計算式を適用して得られた 25 mg/kg に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経皮投与試験の LD50=200 mg/kg、600 mg/kg(EHC 220(2000))およびウサギを用いた経皮投与試験のLD50=1,000 mg/kg(EHC 220(2000))、のうち小さい値LD50=200 mg/kgを適用して区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間、粉塵・ミスト)=0.23 mg/L(EHC 220(2000)に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
DFGOT vol.19(2003)のウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果の記述に「中等度の刺激性を示す」とあることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
EHC 220(2000)のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に「腐食性を示した」、とあることから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 220(2000)、ATSDR(1995)、NTP DB(Access on Apr., 2006)の記載から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性であることから、区分1Bとした。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足であり、既存分類もないことから、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ATSDR(1995)、EHC 220(2000)、DFGOT vol.220(2000)の記述から、親動物に一般毒性を示す用量で、胚吸収、奇形がみられることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、肝臓)、区分2(呼吸器) 危険
警告
H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器)
H370: 臓器の障害(神経系、肝臓)
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「昏睡、頭痛、吐き気または嘔吐」(RTECS(2004))、「肺及び脳の水腫」(HSDB(2003))等の記述、実験動物については、「筋攣縮、振戦、運動失調、脱力感、出血と壊死を伴う肝臓の腫脹」(ATSDR(1995))等の記述があることから、標的臓器は神経系、肝臓、呼吸器と考えられた。なお、実験動物については区分1に相当するガイダンス値でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系、肝臓)、区分2(呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分2(胸腺、脾臓) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(胸腺、脾臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「頭痛、発熱、多汗、異常な渇き、息切れ、咳、嘔吐、呼吸増加、情動不安、脱力、皮膚、毛髪、強膜・結膜の黄染、肺水腫、昏迷、昏睡」、「退行変性が肝実質と尿細管でおこる」、「神経毒性には、中毒性精神病とときおりの痙攣によって診断される脳水腫がある。末梢神経障害、無力症や疲労、自律神経性筋緊張異常も報告されている。」(PATTY(4th, 1999))等の記述、実験動物については、「BUNの増加」、「肝臓の脂肪変性」「胸腺、脾臓の萎縮または発育不全」(ATSDR(1995))等の記述があることから、標的臓器は神経系、呼吸器、肝臓、腎臓、胸腺、脾臓と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、肝臓、腎臓への影響が区分1、胸腺、脾臓への影響が区分2に相当するガイダンス値でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分2(胸腺、脾臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.066mg/L(EHC220、2000)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=0.7(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:4%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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