GHS分類結果

名称:2-クロロ-4-エチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-1,3,5-トリアジン
CAS番号:1912-24-9

結果:
物質ID: 112
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - ICSC(J)(1994)に「特定の条件下で可燃性である」との記載があるが、試験データがなく、分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 用途が農薬であり、常温の空気と接触しても自然発火しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 塩素を含んでいるが、炭素以外の元素と化学結合していない有機化合物。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - HSDB(2004)に「金属腐食性なし」との記載があるが、固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験の雄LD50=3520 mg/kgおよび雌3000 mg/kg(農薬登録申請資料、2002)のうち、毒性の強い方(雌3000mg/kg)を採用し区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットを用いた経皮投与試験のLD50>2000 mg/kg(農薬登録申請資料, 2002)および>5000 mg/kg(農薬登録申請資料, 1987)において、5000mg/kgにおいても死亡例がみられなかったことから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 ラットを用いた吸入暴露試験のLC50>5.82 mg/L(農薬登録申請資料, 2002)および>5.148 mg/L(農薬登録申請資料, 1991)において、いずれも死亡例が認められなかったものの、区分4の経口急性毒性を示していることから、区分5とした。なお、本物質の飽和濃度は3.81x10^(-4)ppm(換算値3.36x10^(-6)mg/L)であり、吸入試験はすべて粉塵・ミストの状態で行われていると推定される。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - GLPにて実施した50%水和剤によるウサギ皮膚一次刺激性試験において、刺激性が認められなかった(農薬登録申請資料, 1989)ことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
GLPにて実施した50%水和剤によるウサギ眼粘膜一次刺激性試験において、軽度の刺激性が認められた(農薬登録申請資料, 1989)ことから、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
OECDガイドラインに沿った、モルモットによる皮膚感作性試験(マキシマイゼーション法)において陽性結果が得られた(農薬登録申請資料, 1997)ことから、区分1とした。なお、50%水和剤の、モルモットを用いたBuehler法による皮膚感作性試験では陰性であった(農薬登録申請資料, 1997)。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウス精母細胞染色体異常試験、チャイニーズハムスター骨髄小核試験(農薬登録申請資料, 1981)およびマウス骨髄細胞を用いたin vivo小核試験(農薬登録申請資料, 2005)で陰性であること、ならびに細菌を用いたin vitro復帰変異試験で陰性(農薬登録申請資料, 2005,1981)であることから、指針に従い区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - IARCでGroup 3に分類されている(IARC 73, 1999)ことから区分外とした。なお、日本の農薬登録における試験では、ラットを用いた発がん性試験において70〜1000ppmを投与した雌で乳腺腫瘍の発生数が増加した(農薬登録申請資料, 1987)が、後年実施されたラットを用いた試験では最高400ppmの投与量でも投与に関連した腫瘍の発生は見られなかった(農薬登録申請資料, 1995)。また、マウスを用いた発がん性試験でも最高3000ppmの投与量で投与に関連した腫瘍の発生はなく(農薬登録申請資料、1989)、残留農薬安全性評価委員会において評価された結果、ヒトに対する発がん性の恐れはないと結論されている。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた2世代繁殖試験では生殖毒性は認められなかった(農薬登録申請資料, 1989)が、催奇形性試験においては、母動物に軽度の毒性影響が見られた最高用量群で、胎仔の不完全化骨の増加が見られた(農薬登録申請資料, 1989)。また、ウサギにおける催奇形性試験においても、母動物に毒性影響が見られた最高用量群で、胎仔の化骨遅延率の増加が認められた(農薬登録申請資料, 1987)が、これらはいずれも軽微な影響であるため、指針に従い区分外とした。なお、残留農薬安全性評価委員会において評価された結果、ヒトに対する生殖毒性の恐れはないと結論されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分外 - - - - ラットに対する経口投与試験において、活動低下、運動失調、るい痩、流涙、鼻汁、多尿、眼瞼下垂、流涎等の症状がみられ(農薬登録申請資料, 2002)、また吸入暴露試験でも、活動低下、流涙、鼻汁、多尿、眼瞼下垂、流涎、弯曲姿勢、呼吸困難、自発運動の低下等の症状がみられ(農薬登録申請資料, 1991,2002)ているものの、いずれも投与量はガイダンス値の範囲を超えているため、区分外とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(心臓、脾臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(心臓、脾臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌを用いた亜急性毒性試験(52週投与)において、1000ppm(約34mg/kg/day)で心電図異常と心房拡張、心房筋変性が認められた(農薬登録申請資料, 1991)。この用量は区分2のガイダンス値範囲内である。また、ラットを用いた亜急性毒性試験(13週投与)において、500ppm(換算値:34.0 mg/kg(雄)、35.3 mg/kg(雌))の投与で脾臓のヘモジデリン沈着がみられた(農薬登録申請資料, 2005)。この用量もガイダンス値で区分2の範囲内であり、以上の結果から、区分2(心臓、脾臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(緑藻)の72時間EbC50=0.043mg/L(農薬登録申請資料、2005)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.61(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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