GHS分類結果

名称:3-クロロプロペン
CAS番号:107-05-1

結果:
物質ID: 116
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(2004)による引火点は-32℃(密閉式)、かつ沸点は45℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3およびクラス・区分6.1(国連番号1100)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告ではクラス3およびクラス・区分6.1(国連番号1100)。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点390℃(ICSC,2004))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない(沸点45℃(ICSC,2004)、試験温度55℃)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=450 mg/kg(SIDS(2003))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経皮投与試験の LC50=2026 mg/kg(SIDS(2003))に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体のため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(2時間)=11 mg/L(環境省リスク評価第2巻(2003))(3,500 ppm に相当)より、計算式を適用して LC50(4時間)=7.8 mg/L(2,500 ppm に相当)が得られた。この値は、飽和蒸気圧39.3 kPa(20℃)における飽和蒸気圧濃度 389,000 ppm の 90% よりも低い濃度であることから、ppmの濃度基準値にしたがって分類し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
SIDS(2003)、CERIハザードデータ集 98-26(1999)の動物を用いた皮膚刺激性試験結果の記述「軽度の刺激性を有する」「皮膚に損傷を与える」及び、 CERIハザードデータ集 98-26(1999)のヒトへの影響の記述「重度の火傷や痛みを示す」から、刺激の強度は不明だが腐食性があるため、区分1A-1Cとした。細区分が必要な場合は、安全性の観点から1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
CERIハザードデータ集 98-26(1999)、SIDS(2003)の動物を用いた眼刺激性試験結果の記述「軽度の刺激性」及び、ACGIH(7th, 2001)のヒトへの影響の記述「痛みと角膜の損傷を伴う重度の刺激性を示し、失明の可能性もある」から、本物質が眼に対して非可逆性の刺激を与える可能性もあると考え、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - SIDS(2003)、NTP DB(Access on February 2006)、IARC 71(1999)の記述から、経世代変異原性試験で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性、であることから区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2001)でA3に分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 98-26(1999)などの記述から、母動物に一般毒性のみられる用量で次世代に臍帯ヘルニアなどの奇形がみられ、親動物の一般毒性についての記述がないが、精子に異常がみられていることによる。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓)、区分3(麻酔作用) 警告
危険
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H370: 臓器の障害(呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「肺水腫」(CERIハザードデータ集 98-26(1999))等の記述、実験動物については、「活動性の低下、嗜眠、呼吸困難、後肢の麻痺、振戦、痙攣などの神経症状と、腎臓、肝臓の組織学的障害、心筋及び肝細胞の変性、粘膜への刺激性、麻酔作用、肺でのうっ血、出血、水腫」(CERIハザードデータ集 98-26(1999))等の記述があることから、呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓を標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、腎臓、心臓、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、腎臓、心臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「衰弱、感覚異常、末端の麻痺」(環境省リスク評価第2巻(2003))、「慢性的な暴露により腎臓毒性(糸球体の膜透過性の変化、尿細管の変性、乏尿、排尿時の痛み、夜間頻尿)、神経障害(手、瞼のふるえ、腱や骨膜反射の増加、多汗、低体温、チアノーゼ、睡眠障害、四肢の感覚異常)、心血管系への影響(心筋の収縮の減少と心音の低下及び心雑音、痛み)、肝機能の変化」(CERIハザードデータ集 98-26(1999))等の記述、実験動物については、「肝臓の類洞拡張、肝細胞の腫大、巣状壊死、腎臓の糸球体の変化、尿細管上皮の壊死、間質の増生、末梢神経線維の変性」(CERIハザードデータ集 98-26(1999))等の記述があることから、神経系、腎臓、心臓、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系、腎臓、心臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間TLm=19780μg/L(環境省リスク評価第3巻、2004)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:62%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=5.6(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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