GHS分類結果

名称:1,4-ジオキサン
CAS番号:123-91-1

結果:
物質ID: 125
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(1999)による引火点は12℃、かつ沸点は101℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3、容器等級II(国連番号1165)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点180℃、ICSC(1999))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告がクラス3(国連番号1165)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50 5170mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))、5170mg/kg(DFGOT vol.20(2005))、5200mg/kg(IARC 11(1976))、5345mg/kg(EU-RAR No.21(2002))、5400mg/kg(ACGIH(7th, 2001))、6370mg/kg(EU-RAR No.21(2002))、6500mg/kg(EU-RAR No.21(2002))、7300mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))、7339mg/kg(EU-RAR No.21(2002))に基づき、計算式を適用して得られた LD50=5559mg/kg から区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経皮投与試験のLD50 2100mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))から、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50 46mg/L(2時間)(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))、51.3mg/L(4時間)(EU-RAR No.21(2002))、64.858mg/L(2時間)(CERIハザードデータ集 97-13(1998))に基づき、計算式を適用し、LC50=9500ppmが得られた。 飽和蒸気圧 37mmHg(25℃)[換算値 4900Pa(25℃)](HSDB(2005))における飽和蒸気圧濃度は49000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
動物を用いた皮膚刺激性試験の結果(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))「中等度の刺激」、およびEU-RAR No.21(2002)の記述から「中等度の可逆的刺激を有する」と考えられ、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトへの健康影響のデータ(CERIハザードデータ集97-13(1998)、CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004)、RU-RAR No.21(2002))から、明確な陽性反応がみられるが程度が腐食性のバックほどではないと考えられるので、区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004)、ATSDR(2004)、EURAR(2002)の記述から、生殖細胞in vivo 変異原性試験なし、体細胞in vivo 変異原性試験 で陰性であることから、区分外とした。なお、in vivo小核試験での陽性報告例はあるが、専門家判断で重みが低いと判断された。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP(2005)でR、IARC(1999)で2Bに分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - CERI・NITE有害性評価書No.13(2004)の記述から、胎児体重の減少、胸骨骨化遅延と毒性学的な重要性が低いか最小限な影響しかみられていないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系、肝臓、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「本物質の吸入によりめまい、頭痛、吐き気、嘔吐、咽頭痛、腹痛、眠気、意識喪失の症状が起こる。高濃度の吸入又は飲み込みは中枢神経系、肝臓、腎臓、肺に影響を与える」(環境省リスク評価 第2巻(2003))、「鼻、喉、肺の刺激性がみられる」(EU-RAR No.21(2002))等の記述があり、実験動物については、「感情鈍麻、麻酔、よろめき歩行、眼瞼反射消失、気道粘膜の刺激がみられる」(EU-RAR No.21(2002))等の記述があることから中枢神経系、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられ、麻酔作用、気道刺激性を有するものと考えられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、肝臓、中枢神経系)、区分2(呼吸器) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓、肝臓、中枢神経系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「出血性腎炎、腎臓及び肝臓の壊死」(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))、「筋緊張亢進、神経症状、腎不全、重度の間質の出血を伴う腎臓皮質の壊死、重度の肝臓の小葉中心性壊死、脳に脱髄と神経線維の部分的欠損」(EU-RAR No.21(2002))等の記述があり、実験動物については、「尿細管上皮の変性及び再生、肝細胞の変性と壊死、肝細胞過形成、気道上皮の変性」(CERI・NITE有害性評価書 No.13(2004))等の記述があることから、腎臓、肝臓、中枢神経系、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(腎臓、肝臓、中枢神経系)、区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態毒性試験報告(1995)他)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る