名称:トリクロロエチレン
CAS番号:79-01-6
物質ID: | 161 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | NFPA(13th,2002)では汎用型密閉式試験器による引火点を、なしとしており、またガス燃焼爆発DBによる引火点は32℃であり、引火性に関する情報が評価文書で異なり分類できない。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1710)であることから「区分外」とした。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点410℃(ICSC,2004))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 区分外 | - | - | - | - | 国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1710)。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験のLD50 5,400-7,200 mg/kg(ATSDR(1997); EU-RAR No.31(2004))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた経皮試験のLD50 29,000 mg/kg(NICNAS No.8(2000))に基づき区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50(4時間)26 mg/L(NICNAS No.8(2000))、64 mg/L(EU-RAR No.31(2004))に基づき、小さい値を用い計算式を適用しLC50(4時間換算値)の4,800ppmが得られた。 飽和蒸気圧7.8kPa(20℃)(IPCS(2004))における飽和蒸気圧濃度は77,000 ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
EU-RAR No.31(2004)の記述から、ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験で強度(severe)の皮膚一次刺激性を有すると考えられるので、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
EU-RAR No.31(2004)の記述から、ヒトの事故例で、「原液の飛沫が眼に入り、眼の痛みと角膜上皮の損傷を生じたが、数日後に完治した」ことから、軽度の刺激性と考えられるが、飛沫量が不明である。一方、「ウサギに対する眼刺激性試験で、軽度から中等度の結膜炎。7日後,上皮性角化症、2週間後には正常に回復」という結果を得ている。そこで、ヒト及びウサギの結果を総合的に判断して、区分2Aとした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR No.31(2004)の「ヒトに呼吸器感作性を示す報告はない。ヒトの吸入暴露の事例から、すべての証拠はトリクロロエチレンが呼吸器感作性物質ではないことを示している」という記述から、区分外とした。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | EU-RAR No.31(2004)は、トリクロロエチレンに吸入暴露し、皮膚症状を示したヒトのパッチテストで陽性結果が得られた事例を2件記載しているが、EU-RARは、「ヒトの皮膚感作性症状の報告は散発的であり、感作性発症は特異体質のヒトの症状であるので、トリクロロエチレンは皮膚感作性を有すると結論してはならない」と指摘しているが、これ以外の情報がなく、データ不足のため、「分類できない」とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERI・NITE有害性評価書 No.37(2004)、EU-RARNo.31(2004)、ATSDR(1997)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。 | |
6 | 発がん性 | 区分1B | 危険 | H350: 発がんのおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARCが2A、NTP(2005)でRに分類されていることから、区分1Bとした。なお、ACGIHではA5と分類されている。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERI・NITE有害性評価書 No.37(2004)から、親動物い影響のみられない用量で、児動物の行動変化(Taylor et al)などがみられたことによる。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用、気道刺激性) | 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについての、「意識の消失、頭痛、吐き気、流涙と眼の痛み」(CERI・NITE有害性評価書 No.37(2004))の記載、実験動物についての「知覚麻痺、眼及び呼吸器の刺激、協調運動の低下、中枢神経系の抑制、呼吸障害を示す。主な毒性症状は、中枢神経系の抑制である。肺、肝臓、腎臓に顕著な変化はみられなかった。」「気管支末端のクララ細胞の空胞化、気管支上皮細胞の核濃縮、上皮の局部的欠損」(CERI・NITE有害性評価書 No.37(2004))等の記載から、麻酔作用、気道刺激性がみられる。 以上より、分類は区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについて、「疫学調査で麻酔作用、中枢神経系への作用、依存性」、「ヒトに対する反復毒性に関して、中枢神経系の抑制を生ずるという多くの暴露の報告があり、共通の症状は、疲労、精神的混乱、めまい、頭痛、記憶喪失、集中力欠如である。」(CERI・NITE有害性評価書 No.37(2004))の記載があり、標的臓器は中枢神経系と考えられる。 以上より、分類は区分1(中枢神経系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分2 | 警告 | H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P331: 無理に吐かせないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(J)(2002)に「液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。」の記載があるため区分2とした。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=7.40mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)から、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=17(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:2.4%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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