名称:フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
CAS番号:117-81-7
物質ID: | 183 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | ICSC(2002)による引火点は215℃(開放式)であり、「区分外」に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点350℃(ICSC,2002))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットに対する経口投与のLD50=>20,000、>40,000 mg/kg(以上: EU-RAR No.42(2003))、30,600 mg/kg(ATSDR(2002))、33,800 mg/kg(ACGIH(7th, 2001))はすべて区分外に相当するので、総じて区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットに関するデータがないので、ウサギのデータを用いて区分した。ウサギに対する経皮投与のLD50 =24,500 mg/kg(EU-RAR No.42(2003))、25,000 mg/kg(EHC131(1992))、24,750 mg/kg(ACGIH(7th, 2001))に基づき、計算式を適用してLD50を算出した。LD50(計算値)=24,700 mg/kgに基づいて、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットに対する吸入暴露(ミスト)のLC50(4時間)=>10.62 mg/L(EU-RAR No.42(2003))に基づいて、区分外とした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分3 | - | 警告 | H316: 軽度の皮膚刺激 | P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 | ATSDR(2002)、EU-RAR No.42(2003)の記述から、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)は皮膚刺激性なし又は軽微な皮膚刺激性を有すると考えられ、軽微な皮膚刺激性を示した4時間適用試験結果に基づいて、区分3とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ACGIH(7th, 2001)、ATSDR(2002)、EHC 131(1992)、EU-RAR No.42(2003)の記述から、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)は眼刺激性なし又は軽微な眼刺激性を有すると考えられ、軽微な眼刺激性があるという試験結果に基づいて、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR No.42(2003)の記述「モルモットを用いたマキシマイゼーション法及びビューラー(Buehler)法で調べた限り、フタル酸ジエチルヘキシルは皮膚感作性を示さなかった。」から、皮膚感作性なしと考えられ、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | CERI・NITE有害性評価書No.7(2004)、ATSDR(2002)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性であるが、陽性の試験は投与経路が適切でないこと、他の優性致死試験や小核試験で陰性であることから区分外とした。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARCではグループ3であるが、NTP(2005)でR、EPA(2002)でB2、ACGIH(2001)でA3、日本産業衛生学会で第2群Bに分類されていることから、区分2とした。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERI・NITE有害性評価書No.7(2004)から、U.S.NTP-CERHR 2000の報告において親に影響のない用量で、次世代に影響がみられたことによる。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(精巣、肝臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(精巣、肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物については「精巣にセルトリ細胞の空胞化がみられる」(CERI・NITE有害性評価書 No.7(2004))、「肝細胞の腫大、門脈周囲の脂肪沈着、リソゾームでの脂質の充満、グリコーゲンの枯渇、胆管構造の変化、ペルオキシゾーム酵素及びチトクロームP-450 の誘導」(CERIハザードデータ集 96-17(1997))の記載があることから、精巣、肝臓が標的器官と考えられる。実験動物に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 分類は区分2(肝臓、精巣)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度(0.003mg/L(EU-RAR、2001))までの濃度で急性毒性が報告されていないことから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分4 | - | - | H413: 長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
難水溶性物質で水溶解度までの濃度で急性毒性が報告されておらず、環境中での分解速度は速くなく(水中での生分解性半減期:50日(EU-RAR、2001))、かつ生物蓄積性がある(BCF=840(EU-RAR、2001))ことから、区分4とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |