GHS分類結果

名称:ベンジリデン=ジクロリド
CAS番号:98-87-3

結果:
物質ID: 192
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点は85℃(Chapman ver.13.1 2005)。引火点が60℃超、93℃以下であるので区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が525℃(ホンメル(1991))であり、70℃を超える。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または酸素を含まず、塩素は炭素以外と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告:UN No. 1886, Class 6.1 , Packing group IIに分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラット LD50 = 2250 mg/kg(CERIハザードデータ集(2000))および3250 mg/kg(IARC 29(1982))に基づいた。いずれも区分5に相当する。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50 = 0.4 mg/L = 60.7 ppm(DFGOT vol.6(1994))の4時間換算値0.3 mg/L(45.5 ppm)に基づき、区分1とした。LC50値が飽和蒸気圧濃度(10^(6)*0.0627(kPa)/ 101(kPa)(25℃))= 620.8 ppm)の90%より低いので、分類には気体の分類区分を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットLC50 = 654 ppm(CERIハザードデータ集(2000))の4時間換算値4.3 mg/Lに基づき区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギの皮膚刺激性試験において"highly irritating"(IUCLID 2000)の評価、さらに短期ばく露の影響として「皮膚を重度に刺激する」との記述(ICSC(2000))もあり、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
CERIハザードデータ集(2000)ではウサギの眼に適用後、「結膜に一過性の発赤と浮腫を生じ、軽度の刺激性を示した」と記述されている。さらにヒトで蒸気が刺激性を有し(HSDB(2003))、短期ばく露の影響として「眼を重度に刺激する」との記述もあり(ICSC(2000))、区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 区分1B 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCで2A、日本産業衛生学会で2Aにそれぞれ分類されていることから区分1Bとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの吸入ばく露試験で、呼吸抑制を含む気道粘膜の刺激の記載(DFGOTvol.6,(1992))があり、ICSC(2000)には短期ばく露の影響として「気道を重度に刺激する」と記述されているので区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 比較的低濃度で実施されたラットの1ヶ月吸入ばく露試験の所見は体重増加抑制がのみ、また、マウス41-50週経皮投与試験では皮膚投与部位の変化の記載のみで全身影響について報告されていない(CERIハザードデータ集(2000))。したがって、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=22mg/L(環境省生態影響試験、2000)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:90%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.97(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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