GHS分類結果

名称:メタクリロニトリル
CAS番号:126-98-7

結果:
物質ID: 205
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点<23℃、沸点(初留点)>35℃ 【特記】UNRTDGではPGIに分類されているため、これに従えば区分1となるが、 初留点(沸点代用)からは、明らかに区分2となる。よって上記分類の妥当性に関して 専門家の判断を要する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3(副次危険6.1)に分類されている。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - UNRTDG クラス3(副次危険6.1)に分類されている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3(副次危険6.1)に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値:64, 240, 120, 25, 50, 200 mg/kg(厚労省報告(2005), SIDS(2002), ACGIH(7th. 2001))に基づき統計計算を適用した。計算値:58.3mg/kgに基づき区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギにおけるLD50:250, 280, 256 mg/kg(SIDS(2002), ACGIH(7th. 2001))に基づき統計計算を適用した。計算値:250 mg/kgに基づき区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおけるLC50:0.899, 0.899, 1.92, 1.36 mg/l(SIDS 2002)に基づき統計計算を適用した。計算値:0.899 mg/l(328 ppm相当)に基づき区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギでのドレイズテストで軽度の皮膚刺激性を示す(SIDS, 2002)との記述、およびヒトへの反復または長期の皮膚接触により皮膚炎を起こすことがある(環境省リスク評価第3巻、2004)との記述から、軽度の刺激性があると判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの眼に対して軽度な刺激性を示すが1時間以内に回復する(ACGIH 7th. 2001)との記述に基づいて区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットにおいては皮膚感作性はないとされている(PATTY 4th. 1994)が、皮膚感作性を明確に否定するデータがないため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットおよびマウスの骨髄細胞またはマウス末梢赤血球を用いたin vivoの小核試験でいずれも陰性であった(SIDS 2002, NTP DB 2005, NTP TR 497, 2001)ことに基づき区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - ラットおよびマウスを用いた2年間反復経口投与した試験では発がん性は認められていない(SIDS, 2002, NTP TR 497, 2001, 環境省リスク評価第3巻, 2004)が、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
2世代繁殖試験でF1 世代の雄の精子数の有意な減少、あるいは13週間の投与終了後の雌に性周期の遅延(いずれもラットに経口投与、SIDS 2002, NTP DB 2005、環境省リスク評価第3巻 2004, NTP TR 497 2001)、および催奇形性試験で新生仔で1腹あたりの雄の比率の低下(ウサギに経口投与.SIDS 2002, CERIハザードデータ集 2001)、胎仔体重の低下(ラットに吸入暴露.SIDS 2002, CERIハザードデータ集 2001, NTP TR 497 2001)が見られ、いずれも区分1Bに該当すると考えられた。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに経口投与すると区分1のガイダンス値範囲(300 mg/kg以下)で、運動失調、振戦、間代性痙攣、流涎等の中枢神経系の症状が見られ(NTP TR 497 2001, 厚労省報告 2005, SIDS 2002, ACGIH 7th. 2001)、ラットに吸入させた場合も約1〜2 mg/lの気中濃度で同様の症状が見られたことから、区分1(中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液、中枢神経系、感覚器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液、中枢神経系、感覚器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットへの反復経口投与により貧血、間代性痙攣、振戦、流涎、運動失調等の症状、嗅上皮の組織学的変化が区分1の用量範囲で認められ(厚労省報告 2005, SIDS 2002, 環境省リスク評価第3巻 2004, NTP DB 2005, NTP TR 497 2001)、標的臓器は血液、中枢神経系および感覚器と判断された。イヌに吸入させたときにもこれらの中枢神経系の症状が見られ、脳の組織学的変化も見られた(SIDS 2002, ACGIH 7th. 2001, IRIS 2005, 環境省リスク評価第3巻 2004)。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=25mg/L(環境省生態影響試験、1999)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:83%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.68(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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