GHS分類結果

名称:ビフェニル
CAS番号:92-52-4

結果:
物質ID: 239
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 燃焼範囲に関する情報があるが(ホンメル(1991)Card No.241 ほか)、規定試験法によるデータなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が540℃である。(ICSC(J)(1994))
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値:2400mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999、環境省リスク評価第1巻, 2002)、3280mg/kg(環境省リスク評価第1巻, 2002、ACGIH 7th, 2001、PATTY 4th, 1994)、5040mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999)に基づき、計算を適用した。計算値は2489mg/kgであったことから、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ウサギLD50値:2500mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999、環境省リスク評価第1巻, 2002)および>5010mg/kg(環境省リスク評価第1巻, 2002)に基づき、小さい方の値を採用し、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - CERIハザードデータ集(1999)およびCICAD 6(1999)にマウスLC50(4時間)値:>43ppm(換算値0.27mg/L)とのデータがあるのみで、区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 CICAD 6(1999)のウサギを用いた試験およびヒトの皮膚へ適用した試験において刺激性が認められなかったとの記述から、区分外と考えられたが、CERIハザードデータ集(1999)の皮膚に弱い刺激性を示すとの記述から、軽度な刺激性があると判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
CERIハザードデータ集(1999)およびCICAD 6(1999)のウサギの眼に適用した試験において軽度の刺激性が認められたとの記述から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - CICAD 6(1999)のモルモットを用いたmaximization testにおいて皮膚感作性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性の結果がある(CERIハザードデータ集, 1999、CICAD 6, 1999)ことから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPA(1991)でDに分類されている(IRIS, 2005)ことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)、CICAD 6(1999)、PATTY(4th, 1994)、IRIS(2005)のラットを用いた繁殖試験において生殖能に影響が認められなかったとの記述、およびCERIハザードデータ集(1999)、CICAD 6(1999)、PATTY(4th, 1994)、IRIS(2005)の妊娠ラットへの経口投与試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも重大な生殖毒性が認められなかったとの記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(1999)のヒトへの影響として粘膜に対し弱い刺激性を示すとの記述、ならびにCERIハザードデータ集(1999)およびCICAD 6(1999)のマウスを用いた吸入暴露試験において軽度な呼吸困難が認められたとの記述から、気道刺激性であると判断し、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、神経系、呼吸器)、区分2(腎臓) 危険
警告
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系、呼吸器)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)、CICAD 6(1999)、ACGIH(7th, 2001)またはPATTY(4th, 1994)の職業暴露例で肝障害、中枢および末梢神経系への影響、気管支炎が報告されているとの記述から、区分1(肝臓、神経系、呼吸器)とした。また、CICAD 6(1999)のラットを用いた21日間混餌経口投与試験において腎臓への影響が区分2のガイダンス値範囲で認められとの記述から、区分2(腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=360μg/L(環境省リスク評価第1巻、2002)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:66%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=3.98(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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