GHS分類結果

名称:o-クロロアニリン
CAS番号:95-51-2

結果:
物質ID: 267
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - ICSC(2000)による引火点は108℃であり、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点500℃(ICSC,2000))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号2019 クロロアニリン(液体))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=1,016 mg/kg(CERI ハザードデータ集 99-25(2000))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経皮投与試験のLD50=1,000 mg/kg(CERI ハザードデータ集 99-25(2000))に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLD50(1時間)=775 ppm(CERI ハザードデータ集 99-25(2000))から得られたLD50(4時間)=2.02mg/L(388 ppm に相当)、および、LD50(4時間)=4.16 mg/L(環境省環境リスク評価第3巻(2004))は、飽和蒸気圧 35 Pa(25℃)における飽和蒸気圧濃度 350 ppm よりも高い濃度であり、ミスト暴露であると考えられる。このうち低い方の値である LD50(4時間)=2.02 mg/L に基づき、区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - CERI・NITE 有害性評価書 No.58(2004)にて、OECDテストガイドライン404に基づいたウサギの皮膚刺激性試験(4時間)の結果記述「刺激性を示さなかった」とあることから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
CERI・NITE 有害性評価書 No.58(2004)にて、OECDテストガイドライン405に基づいたウサギの眼刺激性試験結果記述「軽度の刺激がみられたが、3-7日以内に回復した」とあることから、軽度の刺激性を有すると考えられ、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - CERI・NITE 有害性評価書 No.58(2004)に、モルモットを用いたマキシマイゼーション法に基づいた試験結果「陰性」という記述があるが、データ不十分のため、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE 有害性評価書 No.58(2004)、NTP DB(Access on January 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 毒性情報はあるが分類を行うには不十分であり、既存分類もないことから、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第3巻(2004)の記述から、ラットの催奇形性試験において、母動物毒性が発現する用量で吸収胚の有意な増加、胎仔生存率の有意な減少、自然発生奇形の増加がみられていることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系、中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓) 危険 H370: 臓器の障害(血液系、中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「頭痛、発咳、嘔吐、喉の乾き、錯乱、運動失調、めまい、耳鳴、見当識障害、衰弱、嗜眠、昏睡、心ブロック、不整脈、ショック、循環障害、排尿痛、血尿、ヘモグロビン尿、腎障害」(CERIハザードデータ集 99-25(2000))、「メトヘモグロビン血症、肝臓及び腎臓の障害」(環境省リスク評価第3巻(2004))等の記述、実験動物については、「メトヘモグロビン濃度の増加、チアノーゼ」(NITE初期リスク評価書 No.58(2005))等の記述があることから、血液系、中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系、中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系)、区分2(中枢神経系) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「メトヘモグロビン濃度の増加、チアノーゼ、振戦、ハインツ小体の増加」(NITE初期リスク評価書 No.58(2005))等の記述があることから、血液系、中枢神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、血液系に対する影響は区分1、中枢神経系に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系)、区分2(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.13mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=32(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:2.7%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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