GHS分類結果

名称:クロロ酢酸
CAS番号:79-11-8

結果:
物質ID: 268
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2003)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1およびクラス8(国連番号1751)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点470℃(ICSC,2003))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点52.5℃〜63℃(ICSC,1999)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点63℃(α型)、56.2℃(β型)(ICSC,2003)、試験温度55℃)。データなし。(融点52.5℃(γ型)(ICSC,2003))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験の LD50=55 mg/kg, 90 mg/kg, 277.5 mg/kg(EU-RAR No.52(2005))から、計算式を適用して得られた LD50=55 mg/kg に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=305 mg/kg, 250 mg/kg(EU-RAR No.52(2005))から、小さい方の値を適用して、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
4時間適用試験ではないが、ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、非可逆的な重度の皮膚刺激性と腐食性がみられ(CERI ハザードデータ集 98-9(1999))、また、疫学データに、暴露部位の局所的火傷がみられた(CERI ハザードデータ集 98-9(1999))と示されていることから区分1A-1Cとしたが、細区分が必要な場合は、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、「severe eye irritation(重度の眼腐食性)」(EU-RAR No.52(2005))がみられ、また、疫学データに、眼に対する強い刺激性・腐食性があると示されている(CERI ハザードデータ集 98-9(1999))ことから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データが不十分のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - EU-RAR No.52(2005)、NTP DB(Access on February 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、体細胞in vivo遺伝毒性試験(DNA損傷試験)で陰性、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH(2005)でA4に分類されていることから区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価 第3巻(2004)、EU-RAR No.52(2005)、BUA 127(1993)の記述から、ラットの催奇形性試験において、親動物での一般毒性が発現する用量で胎仔に心奇形の発生に有意な増加が認められていることから区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、心臓、腎臓、肝臓、呼吸器) 危険 H370: 臓器の障害(神経系、心臓、腎臓、肝臓、呼吸器) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「吐き気、嘔吐、心血管系の障害、意識消失、昏睡などの神経系の障害」(CERIハザードデータ集 98-9(1999))、「見当識障害、興奮、心不全及び昏睡、激しい代謝性アシドーシス、横紋筋融解、肝臓の脂肪湿潤、腎不全症及び脳水腫、気道に激しい局所刺激症状、肺水腫」(環境省リスク評価第3巻(2004))等の記述があることから、神経系、心臓、腎臓、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(神経系、心臓、腎臓、肝臓、呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器、心臓、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器、心臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「肺の末梢部の静脈周囲細胞浸潤及び壁肥厚」(CERIハザードデータ集 98-9(1999))、「心筋の変性、鼻腔の慢性炎症、肝臓で中程度の炎症」(環境省リスク評価第3巻(2004))等の記述があることから、呼吸器、心臓、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(呼吸器、心臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セネデスムス)の72時間ErC50=0.033mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:99.8%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.22(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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