GHS分類結果

名称:ジメチル=2,2,2-トリクロロ-1-ヒドロキシエチルホスホナート
CAS番号:52-68-6

結果:
物質ID: 281
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2783 有機リン系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2783 有機リン系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2783 有機リン系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度120g/L(20℃)、農薬登録申請資料)。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 塩素およびフッ素を含まず、炭素・水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃以上のものについては固体状の物質に適した試験方法が確立していないので分類できない(融点77-81℃、農薬登録申請資料)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットによる経口投与試験のLD50=253mg/kg(農薬登録申請資料(1998))に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットによる経皮投与試験のLD50が5000mg/kg以上であり、死亡例が見られていないことから(農薬登録申請資料(1987))、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットによる吸入暴露試験で、最高用量の2.3mg/kgで死亡例が認められず(農薬登録申請資料(1997))、急性毒性値を確定できないため、分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - 複数のウサギによる皮膚刺激性試験において、皮膚刺激性無しとの報告があることから(農薬登録申請資料(1986、1987))、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギでの眼刺激性試験において、滴下後24時間で3例が結膜発赤で評点2を示したが、7日目には全ての症状が消失していたことから(農薬登録申請資料(1987))、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットも用いたMaximization法で、感作性ありとの報告があることから(農薬登録申請資料(1987))、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vitro復帰変異試験とin vitro染色体異常試験では陽性であったが、マウスによるin vivo小核試験、マウスによるin vivo優勢致死試験で陰性であることから(農薬登録申請資料(1987))、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - マウスおよびラットでの発がん性試験において、試験物質投与による腫瘍発生の増加は無かったとの報告がある(農薬登録申請資料(1988、1989))。また、IARC(1987)でグループ3、ACGIH(2001)でグループA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット3世代繁殖性試験、ラットおよびウサギでの催奇形性試験において、親動物に体重増加の抑制等の症状が見られる用量において、新生児体重の低下、妊娠率、同腹児数の低下、仔動物の骨化遅延等の報告がある(農薬登録申請資料(1987))。これらの影響は、親動物への影響による2次的作用と明確に結論付けることが困難なため、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットでの試験において、運動性の低下、振せん、流涎、流涙等の報告がある(農薬登録申請資料(1987))ことから、神経系が標的と考えられた。これらの影響は区分2に相当するガイダンス値で認められたことから、区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットによる試験で、区分2に相当するガイダンス値の範囲で、コリンエステラーゼ活性の阻害との報告があるが、一般症状や病理学的所見がない(農薬登録申請資料(1956))ため、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.36μg/L(農薬登録申請資料、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=0.51(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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