名称:酸化水銀(II)
CAS番号:21908-53-2
物質ID: | 286 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2001)。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2001)。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2001)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に対して安定(水に不溶、ICSC(2001))。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 酸素を含む無機化合物であり、ICSC(2001)では不燃性だが、他の物質の燃焼を助長するとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1641)。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 有機化合物でない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による固体のため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ICSC(J)(2000)に、「発赤。眼、皮膚、気道を刺激する。」との記載があることから、その程度は不明だが刺激性を有すると考えられるため、区分2あるいは3と考えられるが、安全性の観点から、2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A-2B | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ICSC(J)(2000)に、「発赤。眼、皮膚、気道を刺激する。」との記載があることから、その程度は不明だが刺激性を有すると考えられるため、区分2A-2Bとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質を特定したものではないが、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会は水銀を皮膚感作性がある物質、日本産業衛生学会は水銀(注)を皮膚感作性物質「第1群」に分類している。これらの既存分類は本物質を明示していないものの、水銀化合物として含むと考えられる。したがって、水銀化合物である本物質も皮膚感作性を有すると考えられることから、区分1とした。 (注)「当該物質自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物質が同定されているわけではない。」という但し書きがある。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 なお、無機水銀化合物の変異原性/遺伝毒性については、ID285、塩化水銀(II)、CAS:7487-94-7も参照のこと。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | ACGIH(2001)でA4(金属水銀及び無機水銀化合物として)、IARC(1993)でGroup 3(金属水銀及び無機水銀化合物として)に分類されていることから、区分外とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
EHC 118(1991)の記述から、母動物での一般毒性のみられない用量で、次世代に奇形がみられていることによる。なお、無機水銀化合物の生殖毒性については、ID285、塩化水銀(II)、CAS:7487-94-7も参照のこと。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) H370: 臓器の障害(神経系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについて、乳児に対する限定された報告であるが経皮経路で「不全片麻痺、全身性筋硬直、筋振戦、先端疼痛の徴候、昏睡」(CICAD 50(2003))との記載があり、ICSCに「眼、皮膚、気道を刺激する」(ICSC(J)(2001))の記載があることから神経系が標的臓器であり、気道刺激性も有すると考えられた。 以上より分類は区分1(神経系)、区分3(気道刺激性)とした。 【注記】 なお、無機水銀の毒性について、「無機水銀への経口暴露による死因は、腎不全、心血管虚脱、および重症の消化器障害とされている。これらの症例中もっとも一般的な所見は消化管の病変と腎不全である。無機水銀への暴露はヒトにネフローゼ症候群を誘発するようである。」(CICAD 50(2003))の記載がある。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(腎臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(J)に「腎臓に影響を与え、腎臓障害を生じることがある。」(ICSC(J)(2001))との記載があることから腎臓が標的臓器と考えられた。ICSCはPriority2であり分類は区分2(腎臓)とした。 【注記】 なお、無機水銀の毒性について、「無機水銀への経口暴露による死因は、腎不全、心血管虚脱、および重症の消化器障害とされている。これらの症例中もっとも一般的な所見は消化管の病変と腎不全である。無機水銀への暴露はヒトにネフローゼ症候群を誘発するようである。」(CICAD 50(2003)の記載がある。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |