GHS分類結果

名称:塩化バリウム
CAS番号:10361-37-2

結果:
物質ID: 310
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度37.0g/100g(25℃)、Lide(84th,2003))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 塩素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 118mg/kg(EHC 107(1990))、132mg/kg、220mg/kg(CERIハザードデータ集2001-56(2002))に基づき、計算式を適用して得られた 118mg/kgから区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
適用時間は不明であるが、IUCLID(2000)の、モルモットを用いた皮膚刺激性試験で「中等度の刺激性がみられた」という記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ で、刺激性を有すると考えられるが、詳細が不明であるため、「分類できない」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - CICAD 32(2001)、CERIハザードデータ集2001-56(2002)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝毒性試験なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(心血管系、筋肉)、区分2(神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) 危険
警告
H371: 臓器の障害のおそれ(神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H370: 臓器の障害(心血管系、筋肉)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「患者は嘔吐し、心電図で二段脈を示した」、「これらの症状の後直ちに低カリウム症、進行性麻痺、高血圧が見られた」、「摂取12時間後、心室性異所性収縮、QRS間隔拡張及び顕著なST部分上昇が見られた。塩化カリウム輸液を行ったものの、2時間後に心停止した」、「2例とも心機能不全が観察され、患者のうち1人は心停止した」(EHC 107(1990))、「眼、皮膚、気道を刺激する。神経系に影響を与えることがある。低カリウム血症を起こし、心臓障害、筋肉障害を生じることがある。死に至ることがある」(ICSC(J)(1999))、「ヒトではバリウム化合物の摂取(事故もしくは故意)は胃腸炎(嘔吐、下痢、腹痛)、低カリウム血症、不整脈および骨格筋麻痺を引き起こす」(CICAD 33(2001))等の記述、実験動物については、「傾眠、テタニー」(RTECS(2006))等の記述があることから、気道刺激性および麻酔作用を有し、心血管系、神経系、筋肉が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 また”疫学・職業暴露(ヒトへの影響)”の調査に用いた一部評価書がPriority2に属することから、分類は区分1(心血管系、筋肉)、区分2(神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(心臓)、区分2(腎臓、副腎) 危険
警告
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓、副腎)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「腎糸球体の基底膜の肥厚、上皮足突起融合およびミエリン像の出現等を含む超微構造の変化」、「心筋収縮障害」(EHC 107(1990))、「副腎における限局性出血」(IUCLID(2000))等の記述があることから、腎臓、副腎、心臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1及び区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられたが、評価に用いた一部評価書のPriorityが2であるため、腎臓および副腎は区分2に分類した。 以上より、分類は区分1(心臓)、区分2(腎臓、副腎)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=14.5mg/L(CERIハザードデータ集、2002)(塩化バリウム濃度換算値:22.0mg/L)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF<60(既存化学物質安全性点検データ))、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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