GHS分類結果

名称:m-アミノフェノール
CAS番号:591-27-5

結果:
物質ID: 338
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号2512)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号2512)。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点122〜123℃(Merck,13th,2001))、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 920mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-34(2002))から、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 1,000 mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-34(2002))から、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 RTECS(2004)のウサギを用いた皮膚刺激性試験の試験結果「Mild」から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
CERIハザードデータ集 2001-34(2002)のウサギを用いた眼刺激性試験の試験結果「中等度の刺激性」から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 2001-34(2002)のモルモットを用いたmaximization 法の結果「陽性」、及び日本接触皮膚炎学会にて、「皮膚感作性物質」として分類されていることから、皮膚感作性があると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集 2001-34(2002)の記述から、生殖細胞in vivo変異原性試験のデータがなく、体細胞in vivo変異原性試験が陰性で、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性であることから区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 既存分類がないため、分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集 2001-34(2002)の記述から、母動物及び次世代に影響がみられていないが、雄の生殖毒性に関するデータがないので分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系、血液系、肝臓) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系、血液系、肝臓) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「振戦、流涎、褐色尿、腹臥、横臥、手足・耳介の蒼白、自発運動の減少、3-アミノフェノール投与により溶血が惹起された、肝臓の限局性壊死」(厚労省報告(2001))等の記述があることから、神経系、血液系、肝臓が標的臓器と考えられた。腎臓、脾臓における影響もみられているが、これらは溶血に起因する重篤でない症状のため、標的臓器と判断しなかった。なお、実験動物に対する影響については、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(神経系、血液系、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「メトヘモグロビンが尿中に出現したことに起因する褐黒色尿がみられた」(厚労省報告(2001))等の記述があることから、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=447μg/L(環境省リスク評価第2巻、2003)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF<40(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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