GHS分類結果

名称:N,N'-エチレンビス(ジチオカルバミン酸)マンガン
CAS番号:12427-38-2

結果:
物質ID: 363
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - ICSC(2003)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分4.2容器等級III(国連番号2210 マンネブ又はマンネブ混合物(マンネブの含有率が60質量%以上のもの、自然発火性物質(ICSC(2003)))であるが、この物質の場合、副次危険性の1つとしてクラス・区分4.3(水反応可燃性物質)が挙げられている事を考慮すると、区分外と判定する事はできないため、分類できないとした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分4.2容器等級III(国連番号2210 マンネブ又はマンネブ混合物(マンネブの含有率が60質量%以上のもの、自然発火性物質(ICSC(2003)))であるが、この物質の場合、副次危険性の1つとしてクラス・区分4.3(水反応可燃性物質)が挙げられている事を考慮すると、区分外と判定する事はできないため、分類できないとした。
11 自己発熱性化学品 区分2 警告 H252: 大量の場合、自己発熱:火災のおそれ P235+P410: 涼しいところに置き、日光を避けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P407: 積荷/パレット間に隙間をあけること。
P413: ...kg以上の大量品は、...℃以下の温度で保管すること。
P420: 他の物質から離して保管すること。
国連危険物輸送勧告がクラス・区分4.2容器等級III(国連番号2210 マンネブ又はマンネブ混合物(マンネブの含有率が60質量%以上のもの、自然発火性物質(ICSC(2003)))であるから、区分2に該当する。
12 水反応可燃性化学品 区分3 警告 H261: 水に触れると可燃性又は引火性ガスを発生 P231+P232: 湿気を遮断し、不活性ガス下で取り扱うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P402+P404: 乾燥した場所又は密閉容器に保管すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
国連危険物輸送勧告では副次危険性がクラス・区分4.3容器等級III(国連番号2210 マンネブ又はマンネブ混合物(マンネブの含有率が60質量%以上のもの、水反応可燃性物質(ICSC(2003)))であるから、区分3に該当する。なお国連危険物輸送勧告では、安定剤入りの製品もクラス・区分4.3容器等級III(国連番号2968 マンネブ又はマンネブ混合物(自己発熱を防止するために安定化されたもの、水反応可燃性物質))としており、これも区分3に該当する。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 塩素、フッ素および酸素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃以上のものについては固体状の物質に適した試験方法が確立していないので分類できない(融点:185℃で熱分解(農薬登録申請資料))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット経口投与でのLD50=7950mg/kg(農薬登録申請資料(1974))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラット経皮投与でのLD50>5000mg/kg(農薬登録申請資料(1977))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるためガスでの吸入は考えられず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 ラット吸入暴露での試験におけるLC50=7.38mg/L(農薬登録申請資料(2005))に基づき、区分5とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギによる皮膚刺激性試験の結果、軽度の皮膚刺激性があることから(農薬登録申請資料(1970))、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギによる眼刺激性試験において、結膜への影響に関するDraize scoreが2.8であり、8日目に回復している(農薬登録申請資料(1985))ことから、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットでのMaximization法での皮膚感作性試験が陽性とのデータがある(農薬登録申請資料(2005))ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vitroでの復帰変異試験、染色体異常試験およびDNA修復試験で全て陰性(農薬登録申請資料(1975、1978、1987))、マウス骨髄細胞でのin vivo小核試験で陰性(農薬登録申請資料(2005))であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ラット24ヶ月およびマウス18ヶ月の発がん性試験において、試験物質の投与に関連した腫瘍の発生がないとのデータ(農薬登録申請資料(1978))及びIARC(1987)で3に分類されていることに基づき、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットでの2世代繁殖性試験(農薬登録申請資料(1976))、ウサギでの催奇形性試験(農薬登録申請資料(1989))において、繁殖性や仔動物への影響が見られないとのデータに基づき、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットおよびマウスでの試験において、区分2に相当するガイダンス値を超える用量において毒性症状が観察されているが、それ以下の用量では分類を決定できる症状が報告されていないため(農薬登録申請資料(1974))、分類できないとした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(甲状腺、呼吸器、血液系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(甲状腺、呼吸器、血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験において、甲状腺重量の増加、甲状腺の病理変化、肺出血、肺の所見異常、赤血球数・血色素数・ヘマトクリット値の低下、血小板数増加、赤血球形態の異常、甲状腺ろ細胞胞過形成等が報告されている(農薬登録申請資料(1974、2005))ことから、甲状腺、呼吸器、血液系が標的と考えられた。これらの影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲の用量でみられたことから、区分2(甲状腺、呼吸器、血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.189mg/L(農薬登録申請資料、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=0.62(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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