GHS分類結果

名称:グリオキサール
CAS番号:107-22-2

結果:
物質ID: 370
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない - - - - データなし。なお、ICSC(2003)では40%水溶液の引火点を100℃以上としている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない(沸点50.4℃(Lide,84th,2003)、試験温度55℃)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=200 mg/kg(環境省リスク評価第2巻(2003))に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLC50=12,700 mg/kg(CICAD 57(2004))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間)=2.44 mg/L(SIDS(2003))(5,860 ppmに相当)は、飽和蒸気圧26.7 kPa(20℃)における飽和蒸気圧濃度 264,000 ppm の90% 以下であることから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
動物を用いた皮膚刺激性試験結果の記述に、「重度の刺激性」(CERIハザードデータ集 98-8(1999)、SIDS(2003))、「軽度の刺激性」(CERIハザードデータ集 98-8(1999)、SIDS(2003))、「紅斑がみられた」(CICADS 57(2004)、「刺激性なし」(SIDS(2003))とあるが、ヒトへの影響として「中等度の刺激性」がみられていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に、「重度の刺激性」がみられた(CERIハザードデータ集 98-8(1999))、「結膜に重度の紅斑と軽度の浮腫、虹彩に炎症と曇りがみられた。1〜2週間で症状が治まった。」「結膜に重度の紅斑と炎症、虹彩に炎症と曇りがみられた。」(SIDS(2003))とあるため、可逆的な重度の刺激性を与えると考え、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いたビューラー法、マキシマイゼーション法の結果の記述(SIDS(2003))およびCERIハザードデータ集 98-8(1999))の結果の記述に「陽性」とあり、ヒト疫学事例の記述(SIDS(2003))に「マキシマイゼーション法を行ったところ、皮膚のネクローシス、紅斑、浮腫がみられた」とあることから、「皮膚感作性がある」と考え、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集 98-8(1999)、SIDS(2003)、NTP DB(Access on October 2005)、CICAD 57(2004)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性、であることから区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH(2001)でA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため、分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器、肝臓、心臓、腎臓、副腎、神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器、肝臓、心臓、腎臓、副腎、神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「肺、肝臓、心臓の出血、肺、胃腸管、副腎のうっ血、腎臓の褪色化、肝臓の斑状褪色、昏睡、立毛」(SIDS(2003))等の記述があることから、呼吸器、肝臓、心臓、腎臓、副腎、神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(呼吸器、肝臓、心臓、腎臓、副腎、神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「粘膜下リンパ細胞の浸潤を伴う喉頭粘膜上皮の扁平上皮化生」(CERIハザードデータ集 98-8(1999))等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため、分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=86mg/L(SIDS、2003)他から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:65%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-1.66(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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