GHS分類結果

名称:(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)酢酸
CAS番号:94-74-6

結果:
物質ID: 388
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))であるから、区分外に該当する。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))であるから、区分外に該当する。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))であるから、区分外に該当する。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、塩素および酸素を含む有機化合物であるが、この塩素および酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号3345 フェノキシ酢酸誘導体殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=823mg/kg(農薬登録申請資料(1989))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - ラットを用いた経皮投与試験において、LD50>1190mg/kgのデータはあるが、区分を決定できないため、分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50=0.3mg/L(4時間)(農薬登録申請資料(1987))に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 RTECS(2006)のウサギを用いた皮膚刺激性試験(適用時間不明)において「Mild」、IUCLID(2000)のウサギを用いたドレイズ法において「irritating」との記述、またICSC(J)(1994)では「この物質は眼、皮膚、気道を刺激する。」とされていることから、軽度の刺激性を有すると判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
IUCLID(2000)のウサギを用いたドレイズ法での眼刺激性試験において「irritating」との記述、ICSC(J)(1994)では「この物質は眼、皮膚、気道を刺激する。」とされており、皮膚刺激性において区分3と判断したことから、眼刺激性についても軽度の刺激性を有すると判断できるため、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた皮膚感作性試験において、陰性であったことから(農薬登録申請資料(2005))区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 複数のin vitro試験で陰性とのデータはあるが、in vivo試験はエチルエステル体のデータ(マウスin vivo骨髄細胞での小核試験で陰性)、(農薬登録申請資料(1989))しかなく、分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - - ラット24ヶ月およびマウス18ヶ月の発がん性試験において(農薬登録申請資料(1985、1987))、試験物質の投与に関連した腫瘍の発生がないことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびウサギでの催奇形性試験において、親動物に体重増加抑制等の影響が見られる用量において、仔動物の死亡率増加、胎児数減少、化骨遅延が見られている(農薬登録申請資料(1988、1993))ことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物実験において、自発運動の減少、異常歩調、後肢麻痺、自発運動能減少等が見られている(農薬登録申請資料(1988、1989))ことから、神経系が標的と考えられた。これらの影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられたことから、区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、腎臓、皮膚) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、腎臓、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験において、「脱毛」、「低体重」、「摂餌量低下」、「尿量増加」、「尿中ケトン体減少」、「尿比重減少」、「尿色淡色化」が見られた。血液生化学的検査では、「MCV増加」、「血小板減少」、「MCHC・Hb・RBC減少」、「ビリルビン・Cl・タンパク・アルブミン・グロブリン減少」、「リン・中性脂肪・クレアチニン・BUN増加」が認められた。また、病理検査では、「腎臓近位尿細管上皮好酸性小体減少の増加」、「石灰沈着減少」、さらに「皮膚毛嚢萎縮増加」が見られた(農薬登録申請資料(1993))。以上の症状から、血液系、腎臓、皮膚が標的と考えられた。これらの症状は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられたことから、区分2(血液系、腎臓、皮膚)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=82.6mg/L(農薬登録申請資料、2004)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF<13(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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