名称:2,6-ジニトロトルエン
CAS番号:606-20-2
物質ID: | 414 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値が-114であり、また、ICSC(2004)では加熱すると爆発することがあるとしているが、分解開始温度および分解エネルギーのデータがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。なお、2,6-体等を約20%含む2,4-ジニトロトルエン市販製品は、250℃で分解を開始し、280℃では継続的に分解し(Bretherick(J), 5th, 1998)、また、分解エネルギーは、TNT(2,4,6-トリニトロトルエン)5.1kJ/g(Bretherick(J), 5th, 1998)の約85%(NFPA, 13th, 2002)との報告あり。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造に、爆発性に関わる原子団としてニトロ基を含み、また、ICSC(2004)では加熱すると爆発することがあるとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点66℃(ICSC,2004)、試験温度140℃)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの経口投与 試験で、LD50 177 mg/kg(環境省リスク評価第4巻(2005))、180 mg/kg(IARC(1996))、535 mg/kg(SIDS(2005))、795 mg/kg(CERIハザードデータ集 98-15B(1998))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=177 mg/kgから区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体のため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間)=360 mg/L(CERIハザードデータ集 98-15B(1998))に基づき、区分外とした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | CERIハザードデータ集 98-15B(1998)の、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激を示さないとの報告より、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | CERIハザードデータ集 98-15B(1998)の、ウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性なしとの報告より、区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERI・NITE有害性評価書 No.51(2004)、NITE初期リスク評価書 No.51(2005)、CERIハザードデータ集98-15A(1999)、NTP DB(Access on April 2006)、ATSDR(1998)、IARC 9(1975)、DFGOTvol.6(1994)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo遺伝毒性試験(不定期DNA合成試験、DNA結合試験)で陽性、in vitro変異原性試験(復帰突然変異試験)で陽性、であることから「区分2」とした。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARC(1999)でGroup 2B、EPA(1990)でB2、日本産業衛生学会で2Bに分類されていることから、「区分2」とした。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
環境省リスク評価書第4巻(2005)の記述から、マウスの生殖毒性試験において、一般毒性に関する記述はないが、睾丸の萎縮に加え、精子形成能の低下や精子形成欠如が認められているため、「区分2」とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(肝臓、神経系、呼吸器)、区分2(心血管系、血液系)、区分3(麻酔作用) |
警告 危険 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) H370: 臓器の障害(肝臓、神経系、呼吸器) H371: 臓器の障害のおそれ(心血管系、血液系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「中枢神経系、心血管系、血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」(ICSC(J)(1997))の記述、実験動物については、「肝臓で広範囲な小葉中心性の出血性壊死、死亡がみられた」(CERI・NITE有害性評価書 No.51(2004))、「呼吸障害、運動失調、嗜眠の後死亡した」(SIDS(2004))等の記述があることから、呼吸器、肝臓神経系、心血管系、血液系を標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。またヒトに対する影響を記載した評価書のPriorityが2であることから、心血管系、血液系の区分は2とした。 以上より、分類は区分1(肝臓、神経系、呼吸器)、区分2(心血管系、血液系)、区分3(麻酔作用)とした。 ジニトロトルエン(ID_0413、CAS_25321-14-6)の分類結果を参照すること。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液系、肝臓)、区分2(精巣、神経系、腎臓、心血管系) |
警告 危険 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(精巣、神経系、腎臓、心血管系) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系、肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(J)(1997)に「中枢神経系、心血管系、血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」との記載があり、実験動物については「脾臓での髄外造血の亢進、精巣の萎縮、精子形成能の低下、胆管の上皮の過形成がみられた」、「強直、痙攣を伴う麻痺、貧血、メトヘモグロビン血症、血小板の増加、リンパ球の減少、アルカリフォスファターゼの増加、ALT と尿素窒素の増加、脾臓の髄外造血の亢進、胆管の上皮の過形成、肝臓の変性と炎症、腎臓の変性と炎症、精巣の萎縮が認められた」(CERI・NITE有害性評価書 No.51(2004))、「胆管上皮過形成、肝細胞の変性及び空胞化がみられた」(環境省リスク評価第4巻(2005))等の記載があることから、血液系、精巣、肝臓、神経系、腎臓、心血管系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、それぞれ血液系、肝臓が区分1に、精巣、神経系、腎臓が区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。また心血管系に対する影響を記載した評価書のPriorityが2であることから同臓器は区分2に分類した。 以上より、分類は区分1(血液系、肝臓)、区分2(精巣、神経系、腎臓、心血管系)とした。 なお、ジニトロトルエン(ID_0413、CAS_25321-14-6)の分類結果を参照すること。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=15mg/L(環境省生態影響試験、1997)から、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分3 | - | - | H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.1(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(CERI・NITE有害性評価書、2004))ことから、区分3とした。 |
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