GHS分類結果

名称:2,3-ジニトロトルエン
CAS番号:602-01-7

結果:
物質ID: 418
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値が-114であるが、分解開始温度および分解エネルギーのデータがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に、爆発性に関わる原子団としてニトロ基を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点59〜61℃(ICSC,1999)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3454 ジニトロトルエン(固体)および1600 ジニトロトルエン(溶融状のもの))。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口投与 試験で、LD50 911 mg/kg、1,112 mg/kg、1,102 mg/kg(DFGOT vol.6(1994))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=935 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体のため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID413、ジニトロトルエン、CAS:25321-14-6】も参照のこと。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID413、ジニトロトルエン、CAS:25321-14-6】も参照のこと。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - NTP DB(Access on April 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝毒性試験なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID413、ジニトロトルエン、CAS:25321-14-6】も参照のこと。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID413、ジニトロトルエン、CAS:25321-14-6】も参照のこと。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系、心血管系、血液系)、区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系、心血管系、血液系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「中枢神経系、心血管系、血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」(ICSC(J)(1997))の記述があり、実験動物については「傾眠 」(RTECS(2006))の記述があることから、中枢神経系、心血管系、血液系が標的臓器と考えられた。また麻酔作用があると判断した。 以上より、分類は区分2(中枢神経系、心血管系、血液系)、区分3(麻酔作用)とした。 ジニトロトルエン(CAS_25321-14-6)の分類結果を参照すること。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系、心血管系、血液系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系、心血管系、血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「中枢神経系、心血管系、血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」(ICSC(J)(1997))の記述があることから、中枢神経系、心血管系、血液系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分2(中枢神経系、心血管系、血液系)とした。 ジニトロトルエン(CAS_25321-14-6)の分類結果を参照すること。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.33mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.18(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(CERI・NITE有害性評価書、2004))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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