GHS分類結果

名称:テトラクロロジフルオロエタン
CAS番号:

結果:
物質ID: 438
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2004))。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素を含まず、フッ素および塩素を含む有機化合物であるが、これらフッ素および塩素がそれぞれ炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃未満のものについてはデータがなく分類できない(融点40.6℃(1,2,2,2-テトラクロロ-1,1-ジフルオロエタン、ICSC(2004))、融点26℃(1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタン、ICSC(2004)))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
1,1,1,2-テトラクロロ-2,2-ジフルオロエタンでは、ラットを用いた経口投与試験のLD50 >8,000 mg/kg(HSDB(2006))に基づき、区分外となる。また、1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタンでは、マウスを用いた経口投与試験の LD50 800 mg/kg(HSDB(2006))に基づき、区分4となる。これらのデータのうち、低い方の値 800 mg/kgを用いて区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類できない - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 1,1,1,2-テトラクロロ-2,2-ジフルオロエタンでは、ラットを用いた吸入暴露試験の LC50 125.04mg/L(4時間)(ACGIH(7th, 2001)))から、区分5に該当する(飽和蒸気圧(25℃)は8.00 kPa(HSDB(2006))であるので、計算式より飽和蒸気圧濃度は659 mg/L)。また、1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタンでは、マウスを用いた暴露試験の LC50 50 mg/L(2時間)(RTECS(2006))を換算して得られたLC50 25 mg/L(4時間換算)から、区分5に該当する(飽和蒸気圧(25℃)は6.73 kPa(HSDB(2006))であるので、計算式より飽和蒸気圧濃度は555 mg/L)。よって、これらのデータより、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 1,1,1,2-テトラクロロ-2,2-ジフルオロエタンでは、EHC(1990)のウサギを用いた皮膚刺激性試験において「皮膚筋肉組織の組織学的変化(histological changes in skin musculature)」との記述がある。 1,1,1,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタンでは、EHC(1990)のウサギを用いた皮膚刺激性試験において「組織的あるいは組織学的影響ではない皮膚紅斑がみられた(skin erythema but no systematic or histological effects)」(適用時間不明)、RTECS(2006)のモルモットを用いた皮膚刺激性試験において「mild」(24時間適用)との記述があり、ヒトへの影響について「気道、皮膚を軽度に刺激する」との記述がある。 これらのデータに基づき、軽度の刺激性を有すると判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタンでは、HSDB(2006)のウサギを用いた眼刺激性試験において「軽度の結膜刺激(mild conjunctival irritation)」、HSDB(2006)ではヒトへの影響について「眼を軽度に刺激する」と記述していることから、軽度の刺激性を有すると判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタンでは、EHC(1990)のモルモットを用いた皮膚感作性試験において「no sensitization」との記述があったが、本陰性報告1つのみでは区分外とし難いため、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - EHC 113(1990)、DFGOTvol.1(1990)、NTP DB(Access on July 2006)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、であることから「区分外」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - EHC 113(1990)、DFGOTvol.1(1990)に毒性試験データの記載があるが、既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器、心血管系、中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器、心血管系、中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「高濃度を吸入すると、肺水腫を起こすことがある。心血管系、中枢神経系に影響を与え、心臓障害、中枢神経の抑制を生じることがある。意識が低下することがある。」(ICSC(J)(2003))等の記述があることから、中枢神経系、呼吸器、心血管系が標的臓器と考えられた。ただし、Priority 2のデータであるため区分2とした。 以上より、分類は区分2(呼吸器、心血管系、中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため、分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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