名称:p-ニトロフェノール
CAS番号:100-02-7
物質ID: | 458 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値は-132であり、また、Bretherick(J)(5th,1998)では、急激な分解で圧力増加が起こるとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1663 ニトロフェノール)。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | ICSC(2004)では、可燃性であり、また粉末や顆粒状で空気と混合すると粉塵爆発の可能性があるとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1663 ニトロフェノール)。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造にニトロ基を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号3441 クロロジニトロベンゼン(固体))。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点490℃(ICSC,2004))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点111〜116℃(ICSC,2004)、試験温度140℃)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1663 ニトロフェノール)。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50 50 mg/kg、620 mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-65(2002))、202 mg/kg(環境省リスク評価 第4巻(2005))、220 mg/kg(CICAD 20(2000))、230 mg/kg(ATSDR(1992))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 109 mg/kg から、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A-1C | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
4時間適用試験ではないが、CERIハザードデータ集 2001-65(2002)のモルモットを用いた皮膚刺激性試験結果の記述「痂皮、重度の瘢痕」「びらん、浮腫、黄褐色斑、真皮の腫脹、重度の痂皮」から、本物質は強い刺激性を有すると考えられるため、区分1A-1Cとした。安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
CERIハザードデータ集 2001-65(2002)、ATSDR(1992)のウサギを用いた眼刺激性試験結果の記述「虹彩の充血、水晶体白濁、膿様滲出液」「中等度から重度の角膜混濁、水疱結膜組織と角膜新血管形成」から、腐食性を有すると考えられるため、区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERIハザードデータ集 2001-65(2002)、CICAD 20(2000)のモルモットを用いた皮膚感作性試験において「中等度の感作性が示されている」という報告が得られ、CERIハザードデータ集 2001-65(2002)、環境省リスク評価 第4巻(2005)、CICAD 20(2000)のヒトへの暴露事例においても「ヒトで皮膚感作性を示唆する報告がある」との記述があることから、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | ATSDR(1992)、CICAD 20(2000)、NTP TR417(1993)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験なしであることから、区分外とした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | NTP TR417(1993)、CERIハザードデータ集2001-65(2002)、ATSDR(1992)、CICAD 20(2000)に有害性情報(マウス、シリアンハムスターの発がん性試験)の記載はあるが既存分類がないため、専門家の判断に基き、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | CERIハザードデータ集2001-65(2002)、CICAD 20(2000)、ATSDR(1992)の記述から、2世代試験及び発生毒性/催奇形性試験において投与に関連した生殖/発生への影響がみられていないことから、区分外とした。なお、Kavlockによる催奇形性試験について、CICADでは児動物への影響を示唆する記載がなされているが、本分類に当たっては、CERIハザードデータ集及びATSDRの記載を踏まえ、児動物への影響なしと判断した。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液系) | 危険 | H370: 臓器の障害(血液系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「メトヘモグロビン血症の指標である唇、耳、爪の蒼白(チアノーゼ)を伴う、頭痛、眠気、吐き気、呼吸器機能低下」(NTP TR417(1993))等の記述があることから、血液系が標的臓器と考えられた。 以上より、区分1(血液系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液系)、区分2(肝臓) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物については、「肝臓の脂肪変性」(CICAD 20(2000))、「投与群の全メトヘモグロビン値が増加した」(CICAD 20(2000))等の記述があることから、肝臓、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、血液系への影響が区分1、肝臓への影響が区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系)、区分2(肝臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ニジマス)の96時間LC50=2.2mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性が区分2であるものの、魚類(ニジマス)の30日間NOEC=1200μg/L(環境省リスク評価第3巻、2004)から判断して、区分外とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |