GHS分類結果

名称:ノニルフェノール
CAS番号:25154-52-3

結果:
物質ID: 459
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - ICSC(2003)による引火点は140℃(密閉式)であり、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点370℃(ICSC,2003))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに対する経口投与のLD50=1,300 mg/kg、2,462 mg/kg(以上、CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004))、580 mg/kg、1,620 mg/kg(以上、CERIハザードデータ集 96-44(1998))に基づき、計算式を適用して区分する。算出されたLD50(計算値)=851 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットに対する経皮投与のLD50=2,140 mg/kg(CERIハザードデータ集 96-44(1998))、>2,000 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004))、2,031 mg/kg(EU-RAR No.10(2002))に基づき、確定値のうちの低い値のLD50=2,031 mg/kgから、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004)の記述「ノニルフェノールはウサギに対する皮膚刺激性試験に対して、暴露時間の延長により腐食性を示す。」及びEU-RAR No.10(2002)の記述「2つの試験結果から、ノニルフェノールは皮膚腐食性を有すると考えられる。」から、ノニルフェノールは腐食性を有すると考えられ、区分1A-1Cとした。しかし、安全性の観点から、1Aとすることが望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004)の記述「中等度から強度の眼刺激性を示す。」及びEU-RAR No.10(2002)の記述「ノニルフェノールは強度(severe)の眼刺激性を有し、21日間の観察中に完全に回復しない角膜混濁が認められた。」から、「非常に強い刺激性を有する」と考えられ、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004)の記述「モルモットに対するマキシマイゼーション試験では感作性を示さない。」及び EU-RAR No.10(2002)の記述「モルモットに対するマキシマイゼーション試験の結果から、ノニルフェノールは皮膚感作性を有しないことが示唆される。」から、ノニルフェノールは皮膚感作性を示さないと考えられ、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - EU-RAR No.10(2002)の記述から、経世代変異原性試験でなし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004)の記述から、ラットの生殖毒性試験、3世代生殖毒性試験で、母動物に影響がみられない濃度で児に影響(体重増加抑制、摂餌量減少、子宮重量増加等)がみられることから、区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため、分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物について、「腎尿細管上皮の変性及び尿細管の拡張」(CERI・NITE有害性評価書 No.1(2004))の記載がみられ、その影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 分類は区分2(腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ヨコエビ科)の96時間EC50=0.0127mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=330(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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