GHS分類結果

名称:ホウ酸
CAS番号:10043-35-3

結果:
物質ID: 491
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,1999)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,1999)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,1999)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度5.80g/100g(25℃)、Lide(84th,2003))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経口投与試験のLD50 2,660 mg/kg、5,140 mg/kg、3,160 mg/kg、3,450 mg/kg、4,080 mg/kg、5,000 mg/kg(DFGOT vol.5(1993))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 3,241 mg/kgから、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
4時間適用試験かは、不明だがCERIハザードデータ集 2001-30(2002)のモルモットを用いた皮膚刺激性試験において「24及び72時間後に中等度の刺激性」がみられていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ATSDR(1992)、ACGIH(7th, 2005)のヒトへの健康影響の記述において、その程度、回復期間については不明だが、刺激性があるとの報告が得られていることから、区分2A-2Bとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - NTP DB(Access on Apr., 2006)、ECETOC TR63(1995)、CERIハザードデータ集2001-42(2002)、ACGIH(7th, 2005)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH(2005)でA4(無機ほう酸化合物として)に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP DB(Access on May, 2006)、CERIハザードデータ集 2001-30(2002)の記述から、親動物に一般毒性影響が出ていない用量で、親動物の生殖能や児動物の発生に対して影響がみられることから、区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、消化管)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H370: 臓器の障害(神経系、消化管)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「悪心、嘔吐、腹痛、下痢等の消化管症状、嗜眠、頭痛、発熱、被刺激性の亢進、筋肉痙攣等の中枢神経症状」(CERIハザードデータ集 2001-30(2002))、「上気道への刺激性」(ATSDR(1992))等の記述、実験動物については、「チアノーゼ、四肢の硬直、痙攣、ショック様症状」(CERIハザードデータ集 2001-30(2002))等の記述があることから、神経系、消化管を標的臓器とし、気道刺激性をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「乏尿、無尿及び尿細管の壊死を含む腎障害」(CERIハザードデータ集 2001-30(2002))等の記述があることから、腎臓が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ニジマス)の96時間LC50=78.1mg boron/L(ホウ酸濃度換算値:447mg/L)(EHC204、1998)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=50000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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