GHS分類結果

名称:p-アミノフェノール
CAS番号:123-30-8

結果:
物質ID: 515
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - HSDB(2006)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1 (国連番号2512(o-, m-, p-))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 可燃性であるが容易には発火しない(HSDB,2006)。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分6.1(国連番号2512(o-, m-, p-))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 375 mg/kg(RTECS(2006))から、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 > 8,000 mg/kg(IUCLID(2000))、> 16,000 mg/kg(RTECS(2006))のうち、低い方のLD50を基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットを用いた吸入暴露(粉塵・ミスト)試験のLC50 1.48 mg/L(IUCLID(2000))から、区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 RTECS(2006)、IUCLID(2000)のウサギを用いた皮膚刺激性試験において「Mild」「slightly irritating」との報告が得られていることから、軽度の刺激性を有すると考えられ、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
RTECS(2006)、IUCLID(2000)のウサギを用いた眼刺激性試験において「Mild」「slightly irritating」との報告が得られていることから、軽度の刺激性を有すると考えられ、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
HSDB(2003)の、ヒトへの健康影響についての記述において、「接触性皮膚炎、気管支喘息を引き起こす」との報告が得られていることから、呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
日本接触皮膚炎学会にて、本物質を皮膚感作性物質としていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - NTP DB(Access on May 2006)、厚労省報告(1997)の記述から、in vivo試験データはなく、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果もないことから、「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - PATTY(4th, 1999)に毒性試験データの記載があるが、既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
PATTY(4th, 1999)の記述から、シリアンハムスターの催奇形性試験において、親動物での一般毒性に関する記述がなく、投与方法が腹腔内投与ではあるが、児に外脳症と四肢・尾・眼などの奇形が有意に発現していること、Teratology(1986)の記述から、ラットの経口投与による催奇形性試験において、母体毒性と催奇形性がみられたという報告があることから、「区分2」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系) 危険 H370: 臓器の障害(血液系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「メトヘモグロビン血症を起こす」(RATTY(4th, 1999))の記述があることから、血液系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(血液系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、血液系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓、血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「腎毒性を発現する、メトヘモグロビン血症を起こす」(PATTY(4th, 1999))の記述、実験動物については、「褐色尿、沈渣の上皮細胞の増加、腎臓の皮髄境界部の白色線条、好塩基性尿細管」(厚労省報告(1997))、「用量依存性ネフローゼが、13週および27週後の雌雄と、7週間の回復期間中に被験試料から遠ざけた雄にみられた。」(PATTY(4th, 1999))等の記述があることから、腎臓、血液系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(腎臓、血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=0.1mg/L(環境省生態影響試験、1996)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=46(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:6%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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