GHS分類結果

名称:アジ化ナトリウム
CAS番号:26628-22-8

結果:
物質ID: 562
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - アジド基を含むが、国連危険物輸送勧告ではクラス1に分類されていない。副分類でも該当しない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 可燃性について、各文献の記載が分かれる。 国連で規定された試験方法でのデータが見当たらない。国連クラス4.1には分類されていない。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - アジド基を有するが国連分類は6.1(毒物)。クラス4.1には分類されていない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温では燃焼しない。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 自己発熱の情報なし。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 中性の水に溶かした場合は、アジ化水素を発生しない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、塩素、フッ素を含まない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - アルミニウムを強く腐食する、との情報があるが、金属腐食速度の実験データはない。国連危険物輸送勧告でもクラス8に分類されていない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口LD50 値が 45mg/kg である(DFGOT vol.20(2003))であることから「区分2」とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの経皮LD50 値が 20mg/kg である(ACGIH(2001))ことから「区分1」とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - (GHS定義での)固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 常温での蒸気圧(1 Pa)はラットの吸入LC50(37mg/m3)(RTECS(2004))に達しない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - 情報不足で分類できない。RTECS(2004)の情報は暴露形態が明確でない。(粉塵、分解ガス)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験結果・4時間接触で腐食性(DFGOT vol.20(2003))から「区分1C」と判定した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
皮膚腐食性が区分1Cなので、眼も「区分1」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 感作性に関する充分な情報なし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 感作性に関する充分な情報なし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vitro微生物変異原性試験での陽性結果があるものの、in vitro哺乳類細胞変異原性試験では陰性で、さらに哺乳類in vivo試験データがないことから「分類できない」とした。強い変異原性は微生物と植物に特有のものとみなされている。(DFGOT vol.20(2003)) 専門家ののコメントには In vivo イエバエでの結果から「区分2」という意見もあったが、最終的に「分類できない」が結論となった。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIHでA4と判定されているので「区分外」とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 判定に充分な情報がない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(循環器系) 危険 H370: 臓器の障害(循環器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについて、血圧低下(かっては治療薬として使用された)と、その呼吸器・消化器等への副作用と見られる事例が多数あることから「区分1」とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(循環器系、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(循環器系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで高血圧の治療に長期使用した際、一部の患者に感受性の増大が見られた(ACGIH(2001))こと、動物実験で10mg/kg・day以下の投与量で肝臓への影響が見られたので「区分1」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データが得られず分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.7mg/L(HSDB、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow≦0.3(既存化学物質安全性点検データ)、急速分解性がない(直接測定(HPLC)による分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る