GHS分類結果

名称:塩化ホスホリル
CAS番号:10025-87-3

結果:
物質ID: 569
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 不燃性(Weiss(2nd, 1985))
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性(Weiss(2nd, 1985))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(Weiss(2nd, 1985))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 水と激しく反応する(危険DB(第2版, 1993))が、発生するガスは塩化水素(不燃性ガス)である。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 酸素及び塩素を含む無機化合物であるが、UNRTDG クラス8に基づき区分外とした。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物ではない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - UNRTDG クラス8であるが、金属腐食に関するデータがないために分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50=380mg/kg(RTECS(2005), IUCLID(2000))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 本物質はGHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の飽和蒸気圧濃度は5248ppmなので、吸入試験は蒸気で実施されたと考えられる。ラットLC50=48ppm(ACGIH(7th, 2001))に基づき、区分1とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物では腐食性および強い刺激性を示し(IUCLID(2000))、ヒトでも腐食性および強い刺激性を示すとの記載(ACGIH(7th, 2001)、HSDB(2000)、Institut national de recherche ,CDROM CD 613(May 2000. 3p.))に基づき、区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
本物質は皮膚腐食性物質である。ウサギでは強い眼刺激性および壊死、失明の記載があり(IUCLID(2000)、GESTIS(2005))、ヒトでは強い眼刺激性、腐食性および失明の記載がある(ACGIH(7th, 2001)、ICSC(J)(2002)、HSDB(2005))ことに基づき、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系、呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで目眩、頭痛、食欲不振、脱力感、吐き気、おう吐などの中枢神経系への影響が記載されており(ICSC(J)(2002)、HSDB(2005))、ラットの反復投与試験で神経細胞の変性が見られたことから、区分1(中枢神経系)とした。ヒトで胸痛、咳、呼吸困難、気管支炎、気管支肺炎、肺水腫が記載されており(ACGIH(2001))、モルモットでは呼吸困難が記載されている(RTECS(2005))ことに基づき、区分1(呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器系、腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、呼吸器系、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで目眩、頭痛、食欲不振、脱力感、吐き気、おう吐などの症状が記載され(ACGIH(7th, 2001)、HSDB(2005))、区分1のガイダンス値範囲内の投与量でラットで脳神経細胞の変性が見られたとの記載(IUCLID(2000))があることから、区分1(中枢神経系)とした。ヒトで気管支炎、気管支肺炎、肺水腫など呼吸器系への影響が記載され(ACGIH(7th, 2001))、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内の用量で、呼吸機能低下が記載されている(IUCLID(2000))ことに基づき、区分1(呼吸器系)とした。ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内の用量で、腎臓の脂肪変性が記載され、ヒトでは腎炎が記載されていることに基づき、区分1(腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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