名称:1,2-ジブロモエタン【EDB】
CAS番号:106-93-4
物質ID: | 586 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1991)) |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1991)) |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1991)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に金属または半金属を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に酸素、フッ素または塩素を含まない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を有しない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 区分外 | - | - | - | - | 国連危険物輸送勧告でクラス 6.1、容器等級Iに分類されている。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
分類対象にはラットLD50値 146 mg/kg(雄)、117 mg/kg(雌)、140 mg/kg(雌雄)(EHC 177(1996))が該当し、低い値117 mg/kgに基づき区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギ LD50 = 450 mg/kg(EHC 177(1996))に基づき区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義により液体。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
分類対象としてラットLC50値 2.304 mg/L および 4.620 mg/L(=2.31 mg/L: 4時間換算値)(EHC 177(1996))が該当した。いずれもほぼ300 ppmに相当し、気体の分類区分を適用して区分2とした。 [飽和蒸気圧濃度: 10^(6)*1.5/101(kPa)= 14851 ppm] | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギの剃毛した腹部に反復塗布により、壊死および痂皮に進展する紅斑や浮腫を伴う著しい刺激性が見られたが、暴露終了後7日以内に完全に回復したと記述されている(EHC 177(1996))。ヒトでは皮膚の単回暴露試験の結果から重度の刺激性と判定され(IUCLID(2000))、その他にも強い刺激性を示す報告がなされている(EHC 177(1996)、PATTY(5th, 2001)、ATSDR(1992))。これらの情報より、本物質は腐食に至らないまでも重度の刺激性を有すると判断されるので区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギ点眼により、結膜に刺激性、角膜表面に軽度の壊死が認められているが、12日後に傷害を残さず完全に回復している(EHC 177(1996))。また、ヒトでは眼に強い刺激性があると記載されている(EHC 177(1996))。これらの情報から眼に対し中等度以上の刺激性を有すると判断されるので区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトで感作性を示唆する報告(BUA 66(1991))があるが、証拠としての確からしさが十分と言えず、データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット精巣細胞を用いたDNA損傷試験(生殖細胞in vivo遺伝毒性試験)、ラットあるいはマウスの肝細胞などの体細胞を用いた複数のDNA損傷試験およびDNA結合試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)において陽性(IARC 71(1999)、EHC 177(1996))となり、かつin vitro変異原性試験において複数の指標で陽性結果(IARC 71(1999)、EHC 177(1996))が得られている。以上の結果に基づき区分2とした。 | |
6 | 発がん性 | 区分1B | 危険 | H350: 発がんのおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
産衛学会により2A(2002年)、IARCにより2A(1999年)にそれぞれ分類されていることに基づき区分1Bとした。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
10週間吸入暴露後の雄ラットを無処理の雌と交配したときの妊娠の不成立、また、3週間吸入暴露した雌ラットを無処理の雄ラットに交配させた時の交配成立の低下が報告されている(EHC 177(1996))。これらの影響が認められている用量では同時に一般毒性(体重増加抑制、死亡など)も発現していることから区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(肝臓、腎臓、中枢神経系)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H370: 臓器の障害(肝臓、腎臓、中枢神経系) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトで自殺企図によりあるいは誤って摂取し、肝臓の脂肪変性、小葉中心性壊死、腎臓の近位尿細管障害などが報告(EHC 177(1996)、PATTY(5th, 2001)、IARC 71(1999)、ACGIH(2001)、BUA 66(1991))され、ラットでも肝臓の小葉中心性脂肪変性・壊死、腎臓の尿細管浮腫が認められている(EHC 177(1996))ことから、区分1(肝臓、腎臓)とした。また、ヒトで麻酔薬と間違えて摂取して中毒をおこした複数の報告例がある(ACGIH(2001)、BUA 66(1991))こと、さらに中枢神経系に影響を与え意識低下を来たすとの記載(ICSC(1993))もみられることから、区分1(中枢神経系)とした。なお、気道に対する刺激性の記載もある(EHC 177(1996)、ICSC(1993))ので区分3(気道刺激性)にも分類した。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(呼吸器、肝臓、腎臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器、肝臓、腎臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトでは職業暴露で咽頭、気管支などの刺激性(PATTY(5th, 2001))のみならず、肺を冒され気管支炎を起こすとも記載されている(ICSC(1993))こと、ラットあるいはマウスの吸入暴露でも、ガイダンス値区分2に相当する濃度(0.577 mg/L)で鼻腔嗅上皮の壊死および萎縮、気道に扁平上皮細胞の異形成、過形成、巨大細胞が認められること(EHC 177(1996))に基づき区分2(呼吸器)とした。また、ヒトでも長期または反復暴露の影響として肝臓、腎臓に影響を与える可能性が示唆されていること(ICSC(1993))、モルモットの吸入暴露により、ガイダンス値区分2に相当する濃度(0.385 mg/L(50 ppm)(80 days)(90日換算値: 0.342 mg/L))で肝臓に軽度小葉中心性脂肪変性、腎臓に間質性うっ血と浮腫が観察されていること(EHC 177(1996))に基づき区分2(肝臓、腎臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=32.1mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性が区分3であるものの、魚類(ヒメダカ)の28日間NOEC=5.81mg/L(ECETOC TR91、2003)から判断して、区分外とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |