名称:硫酸
CAS番号:7664-93-9
物質ID: | 626 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である。(ICSC(J)(2000)ほか) |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である。(ICSC(J)(2000)ほか) |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である。(ICSC(J)(2000)ほか) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に金属または半金属を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分外 | - | - | - | - | UNRTDG クラス8に分類されている。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含んでいない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | UNRTDGにおいてクラス8に分類されているが、皮膚腐食性との識別が出来ない。また、殆どの金属を侵すとの情報もあるが(ICSC(J)(2000))、規定試験法によるデータなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分5 | - | 警告 | H303: 飲み込むと有害のおそれ | P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 | ラットLD50値:2140mg/kg(SIDS, 2001)およびヒトでの経口摂取(摂取量は不明)による死亡例の報告があるとの記述に基づき区分5とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50値(4時間暴露):0.375mg/Lおよび(1時間暴露):347ppm(4時間換算値:0.347mg/L)(いずれも(SIDS, 2001))に基づき、区分2とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A-1C | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
濃硫酸のpHは1以下であることから、GHS分類基準に従い腐食性物質と判断され、区分1A-1Cと分類した。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ヒトでの事故例では前眼房の溶解を伴う眼の重篤な損傷が認められたとの記述(ATSDR, 1998)、ウサギの眼に対して5%液で中等度、10%液では強度の刺激性が認められたとの記述(SIDS, 2001)および本物質のpHが2以下であることから区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | 硫酸の皮膚感作性に関する試験データはない。硫酸は何十年と工業的に利用されているが、皮膚刺激作用による皮膚障害がよく知られている一方、皮膚感作性の症例報告は皆無である。体内には硫酸イオンが大量に存在する(血清中の硫酸イオンは〜33mmol/L、細胞内にはその50倍)が、アレルギー反応は起こらない。金属の硫酸塩のアレルギー性試験では、金属によるアレルギー性陽性となることはあっても、硫酸イオンでは陰性となることは、硫酸亜鉛での陰性の結果から推定される。以上の結果から硫酸はヒトに対してアレルギー性を示さないとの結論が得られる、との記述(SIDS,1998)から、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | In vivoでは生殖細胞、体細胞を用いたいずれの試験データもなく、In vitro 変異原性試験では単一指標(染色体異常試験)の試験系でのみ陽性の結果がある(ATSDR, 1998)が、他の指標では陰性であることから、分類できないとした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 硫酸を含む無機強酸のミストへの職業的暴露については、IARC(1992)でグループ1、ACGIH(2004)でA2、NTP(2005)でKに分類されていることから、IARCの評価および最近のNTPの評価を尊重し、区分1に分類されるが、硫酸そのものについては、DFGOT(vol.15, 2001)でカテゴリー4に分類している他、いずれの機関においても発がん性の分類をしていないことから、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギおよびマウスでの胎児器官形成期に吸入暴露した試験では、母獣に毒性が認められない用量では、両種ともに胎児毒性および催奇形性は認められず(SIDS, 2001)、また、慢性毒性試験および発がん性試験においても雌雄の生殖器官への影響は認められず、刺激性/腐食性による直接作用が主たる毒性であることから、生殖毒性を示す懸念はないと判断されている(SIDS, 2001)ことから、区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器系) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトでの低濃度の吸入暴露では咳、息切れなどの気道刺激症状が認められており(DFGOT,2001)、高濃度暴露では咳、息切れ、血痰排出などの急性影響のほか、肺の機能低下および繊維化、気腫などの永続的な影響が認められたとの記述(ATSDR, 1998)およびモルモットでの8時間吸入暴露で肺の出血および機能障害が認められたとの記述(ATSDR, 1998)から、区分1(呼吸器系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
SIDS(2001)のラットでの28日間吸入暴露試験では区分1のガイダンス値範囲で喉頭粘膜に細胞増殖が認められ、ATSDR(1998)のモルモットでの14〜139日間反復吸入暴露試験では区分1のガイダンス値範囲内の濃度で鼻中隔浮腫、肺気腫、無気肺、細気管支の充血、浮腫、出血、血栓などの気道および肺の障害が、さらに、カニクイザルでの78週間吸入暴露試験では、肺の細気管支に細胞の過形成、壁の肥厚などの組織学的変化が、区分1のガイダンス値の範囲の用量(0.048mg/L、23.5Hr/Day)で認められたことから、区分1(呼吸器系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=16-28mg/L(SIDS、2003)から、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 水溶液が強酸となることが毒性の要因と考えられるが、環境水中では緩衝作用により毒性影響が緩和されるため、区分外とした。 |
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