GHS分類結果

名称:アジピン酸
CAS番号:124-04-9

結果:
物質ID: 632
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点420-422℃(Sax(11th, 2004)、ICSC(J)(1998)、Chapman(1982-2005))
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50 >11000 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 飽和蒸気圧濃度=9.9ppmであることから、吸入試験はミストで行ったと考えられる。ラットLC50= 7.7 mg/L(CERIハザードデータ集(1998))に基づき、区分5とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギを用いた試験で軽度の刺激性を示した(CERIハザードデータ集(1998)、BUA 68(1991))、またヒトで皮膚を乾燥させ皮膚炎を起こすことがある(ACGIH(2001))との記載に基づき、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で中等度から重度の刺激性を示した(CERIハザードデータ集(1998)、PATTY(5th, 2001))の記載に基づき、区分2Aとした。EU-Annex1: Xi; R36の既存分類がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 「アジピン酸を扱う2人の作業者が気管支喘息を起こした」(CERIハザードデータ集(1998)、PATTY(5th, 2001)、ACGIH(2001))の記載があるが、いずれの評価書も陽性とは結論していないことから、データ不足のため分類できないとした。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた試験で皮膚感作性なし(CERIハザードデータ集(1998)、PATTY(5th, 2001))の記載に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vivo経世代変異原性試験(ラットを用いた優性致死試験)は陰性であり、体細胞を用いたin vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験)も陰性(いずれもCERIハザードデータ集(1998)およびBUA 68(1991))であることから、技術指針に従い区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 情報不足により分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 催奇形性は認められなかったとの多くの報告(ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001)、BUA 68(1991)、IUCLID(2000))があるが、交配前投与による親動物の性機能や生殖能に及ぼす試験データ等がないため分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ダストなどは人の上部気道粘膜に軽度の刺激性を示す(CERIハザードデータ集(1998)、ACGIH(2001))の記載から、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(自律神経系)(ダスト吸入の場合) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(自律神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでの職業的ダスト吸入暴露で自律神経系および消化器官の失調を起こした(CERIハザードデータ集(1998)、ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001))の記述に基づき、区分1(自律神経系)(ダスト吸入の場合)とした。 なお、ラットに24か月間1%混餌投与(500 mg/kg/dayに相当)した試験で有害な影響はみられなかった(CERIハザードデータ集(1998)、ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001))の記載があり、この投与量は区分2ガイダンス値範囲の上限値を超える。また、ヒトが100mg/kg/day摂食しても毒性影響なし(PATTY(5th, 2001))の記述がある。これらのことから、経口の場合には区分外に相当する。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=46mg/L(環境省生態影響試験、1997)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:81%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.08(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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