GHS分類結果

名称:アセトフェノン
CAS番号:98-86-2

結果:
物質ID: 634
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点データに82-105℃と幅があるが、最も低い引火点82℃(開放式)から区分4(GHS基準:引火点60℃超、93℃以下)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点570-571℃(Chapman(1982-200)、有機化合物辞典(1985)、ICSC(J)(1994))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。酸素を含むが、この酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50の4試験結果(900, 900, 3000, 3200 mg/kg)(PATTY(5th, 2001))に計算式を適用して得たラットLD50=956.3 mg/kgに基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - モルモットLD50 >20600 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - アセトフェノンの飽和蒸気圧濃度は523.7ppm(25℃)であり、吸入試験は蒸気の状態で行われたと推定されるが、LC50値が不明(PATTY(5th, 2001))であることから、データ不足のため分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - アセトフェノンの飽和蒸気圧濃度は523.7ppm(25℃)であり、吸入試験は蒸気の状態で行われたと推定され、ミストについてのデータはない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギを用いた試験で軽度の浮腫(IUCLID(2000))およびマイルドな皮膚反応(RTECS(2005))の記載に基づき、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で強い刺激性(PATTY(5th, 2001))および中等度の刺激性と一過性の角膜損傷(IUCLID(2000))の記載に基づき、区分2Aとした。なお、EU-Annex 1: Xi; R36の既存分類がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - ヒトでの試験例およびモルモットを用いた試験で陰性(PATTY(5th, 2001))の記載に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro 変異原性試験のデータしかなく、強い陽性結果もないことから、技術指針に従い分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPAの分類D(IRIS(2004))から技術指針に基づき区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは麻酔薬として使われたことがある(ACGIH(2001))、ラットへの投与で麻酔作用がみられた(PATTY(5th, 2001))などの記載に基づき、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - ラットを用いた17週間の10000 ppm混餌投与(技術指針により約500 mg/kg/dayに相当)で有害な影響はみられなかった(PATTY(5th, 2001)およびACGIH(2001))と記載されており、この投与量は区分2ガイダンス値範囲の上限値を超える。また、ヒトでの職業暴露においても有害影響は報告されていない(ACGIH(2001))との記載がある。これらのことから区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=162mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=6130mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る