GHS分類結果

名称:イソシアン酸メチル
CAS番号:624-83-9

結果:
物質ID: 645
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点 -7 ℃(ICSC(J)(2003))、沸点 39 ℃(ホンメル(1991))で、「引火点<23 ℃および初留点>35℃」 にあたるため、区分2とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告 UN No.2480 METHYL ISOCYANATE : クラス 6.1、容器等級Iに分類されている。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が 534 ℃(ホンメル(1991))で、70 ℃を超えるため、区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素を含まず、酸素が炭素以外の原子と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 沸点 55 ℃以下(沸点39 ℃(ホンメル(1991)))での液体の場合は、適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口 LD50 = 71 mg/kg(ACGIH(2001))より、区分3 とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギ経皮 LD50 = 0.21mg/kg(ACGIH(2001))より、区分1 とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入 LC50 = 7.47 ppm/4H(ACGIH(2001))より、区分1 とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - 飽和濃度は、459406 ppm で、吸入試験は何れも蒸気の状態で行われていると推察される。ミストについてのデータは無いため、分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた Draize test の結果、Moderate と評価され、ヒトでも刺激あるいは損傷を起こすことが報告されている(RTECS(2004))ため、区分2 とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた Draize test の結果、Severe と評価されて(RTECS(2004))おり、また、ヒトでも非可逆的損傷(ACGIH(2001))が報告されているため、区分1 とした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで急性症状として喘息を引き起こすこと(ACGIH(2001))、呼吸器感作性が指摘されていること(EU R42/43、Chapman(2005))、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会のリストにシアネート系化合物が多く記載されていることから、呼吸器感作性については区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットの皮内感作試験で免疫反応を示すという報告(ACGIH(2001))があるため、皮膚感作性についても区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウス吸入試験において骨髄における染色体異常および小核の誘発が認められていること(RTECS、2004)、ならびにばく露されたヒトの末梢血リンパ球(in vivo の体細胞データ)で染色体異常の発生頻度が高かったという疫学調査の報告2つ(HSDB 2005))に基づき、区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - - ラット及びマウスの雌雄において、ラットの雄のみで、副腎に褐色細胞腫、膵臓に腺腫の僅かな増加が報告されている(HSDB(2005))が、分類に十分な証拠とは言えないので、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
技術指針に記載された参考文献(Schardein JL, Chemically induced Birth Defects-3rd edition, Marcel Dekker, New York, 2000)の中で、1984年のインドのプラント事故で本物質が環境中に放出された結果として、死産、異常児の分娩が報告されている。しかし、疫学調査が更に必要だとされており、区分1Aに該当するだけの情報が得られなかったため、区分1Bとした。なお、吸入暴露した妊娠マウスでは、母体体重に影響が出ない濃度での吸収胚の増加が報告されている(RTECS(2004))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで肺水腫や、呼吸困難、または呼吸窮迫症候群などの報告(ACGIH(2001)、HSDB(2005))があり、また、ヒトでの鼻または喉への刺激性(ACGIH(2001))が報告されているため、区分1(呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - いずれの報告も投与期間が短く、データ不足のため、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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