GHS分類結果

名称:イソプロピルエーテル
CAS番号:108-20-3

結果:
物質ID: 649
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-21.5〜-28℃、初留点68.27〜69℃から、区分2(GHS基準:引火点23℃未満および初留点35℃超)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点405-443℃(IUCLID(2000)、Chapman(CD-ROM Ver.13.1))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3IIに基づき区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。酸素を含むが、この酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットの5経口投与試験(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001))におけるLD50値から、技術指針による計算処理によって得られたLD50=6033 mg/kgに基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギにおけるLD50値=20 mL/kg(RTECS(2004), 換算値:14600 mg/kg)および20000 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - 本物質の飽和蒸気圧濃度は197000ppmで、吸入試験はいずれも飽和蒸気圧濃度の90%以下で行われているので、試験は蒸気により行われたと考えられる。ラットの4時間暴露における致死濃度が1.6%(換算値:16000 ppm)の記載(PATTY(5th, 2001))から、LC50値は16000 ppm以上と考えられることにより区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ミストを用いたデータ無し。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 10日間反復投与で皮膚炎を生じたとの記載があるが可逆性であること(ACGIH(2001), IUCLID(2000), HSDB(2003))、Open irritation testにおけるウサギの皮膚反応が"mild" との記載(RTECS(2004))があることに基づき区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギによる試験で刺激性を認めた記載(IUCLID(2000))および"minor injury"を生じたとの記載(HSDB(2003))、ならびにヒトにおいて800 ppm, 5 minで眼に刺激性を認めたとの記載(ACGIH(2001))に基づき区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitroの試験(IUCLID(2000))で陰性結果があるが、in vivoのデータが無いので、データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおいて、親動物への一般毒性的影響に関する記述がないが、性周期、妊娠率、受胎率への影響を認めたとの記載(RTECS(2004))に基づき区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて高濃度の吸入は中枢抑制をおこし、呼吸麻痺により死亡することがあるとの記載(HSDB(2003))に基づき区分2(中枢神経系)とした。ヒトで鼻を刺激し、呼吸しにくくなるとの記載(PATTY(5th, 2001), ACGIH(2001))、および動物における麻酔作用の記載(PATTY(5th, 2001))に基づき区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットにおける1日6時間、90日間暴露試験で、区分2のガイダンス値範囲の上限値よりも高い暴露量で異常を認めなかったとの記載(HSDB(2003))が有るが、Priority 2の1データのみであることからデータ不足のため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=91.7mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.52(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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