GHS分類結果

名称:エチリデンノルボルネン
CAS番号:16219-75-3

結果:
物質ID: 664
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 不飽和のC-C結合を含むが、データがないために分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点38-38.33℃に基づき、区分3(GHS基準:引火点23℃以上、60℃以下)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 不飽和のC-C結合を含むが、データがないために分類できない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点272℃(SIDS(2004))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 SIDS(2004), ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001)のラット経口投与4試験のLD50値から計算によって得られたLD50=2276 mg/kgに基づいて区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギ経皮毒性試験におけるLD50=8253 mg/kgの記載(ACGIH(2001))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
本物質の飽和蒸気圧濃度は5518 ppmであることから、吸入毒性試験は蒸気によって行われたと考えられる。ラット4時間 吸入試験における雌雄のLC50値の内、低い値を示した雄のデータ2717 ppm(SIDS(2004))に基づき、技術指針に従って区分4とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ヒトで皮膚刺激性があり、発赤を生じるとの記載(PATTY(5th, 2001))、および4時間適用によるウサギ皮膚刺激性試験の結果が「slight」から「mild」であること(SIDS(2004))から区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギ眼刺激性試験における「slight eye irritant」の記載(SIDS(2004))およびヒトでの試験で眼に刺激性を認めたこと(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001))に基づいて区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラット優性致死試験における陰性の記載(SIDS(2004))に基づき、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
親動物に一般毒性が現れる用量で親の生殖(精巣の組織障害、卵巣機能障害、着床率および分娩率の低下)、児の発育(総出産児数、生児数、4日生存児数の減少)に影響が見られたとの記載(厚労省報告(2005), SIDS(2004), HSDB(2005))に基づき区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分2(消化管)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
H371: 臓器の障害のおそれ(消化管)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて悪心・嘔吐、頭痛、錯乱、呼吸困難が見られるとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき区分1(中枢神経系)、ヒトの蒸気暴露で鼻、喉への刺激が記載されていること(ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001))から区分3(気道刺激性)とした。ウサギへの経皮投与において区分2のガイダンス値範囲(2000>=C>1000mg/kg)内の用量で下痢、胃腸出血、胃の膨満が見られたとの記載(HSDB(2005))に基づき区分2(消化管)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットによる反復投与経口毒性試験(厚労省報告(2005))において、ガイダンス値の区分2の範囲(10-100 mg/kg/day)内の用量で肝細胞の空砲化が見られ、ラット反復投与吸入毒性試験(SIDS(2004))において、ガイダンス値の区分2の範囲(0.2-1.0 mg/L/6 hr/ day)の上限値よりわずかに高い用量(1.165 mg/L/6 hr/ day)で肝臓の形態変化と硬化、肝細胞の変性が見られた。イヌ反復投与吸入毒性試験(SIDS(2004))においても、区分2のガイダンス値範囲内の用量で肝臓の線維化、逸脱酵素の増加、胆管増生が記載されている。以上の情報に基づき区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて吸引により重度の肺炎を起こす旨の記載(PATTY(5th, 2001))、および、液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある、との記載(ICSC(J)(1999))に基づき区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=3.3mg/L(環境省生態影響試験、1998)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=160(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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